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2007・8・31 秋色のバッグを,買う。

病院へいく途中,ローカル百貨店の靴専門店にディスプレイしてあった秋物のバッグに目が止まる。明るめの茶色と,落ち着いたカーキグリーンと。さんざん迷って,決められず。



父はなんだか,今日はぼんやりしていた。買っていった新聞にも目もくれず,ずっと宙を見ている。それも,むずかしい顔で。話しかけてもリアクションが相当「うすい」ので,自然とワタシの声も小さくなってゆく。

こんな時,「あぁ,今日はちょっと遠くへ行っちゃってるんだな」と,あるがままに受け止めるコトができたら,楽なのだろう。でも,ワタシはまだ,そこまで達観できない。認知症のある父を,まだ100%受け止めるコトができないでいる。


夕食の注入をしながら,看護師さんは,「栄養剤を固めにしてから,調子いいみたいですね。○○さんには,合っているみたいね」と言う。確かに,便はあいかわらず緩めだが,しじゅう喉にからんでいた,あのゼロゼロ言う痰が,まったく無くなった。だから,苦しい痰の吸引も,もう随分ながいあいだ,やっていない。これだけでも,ホントにヨカッタと思う。


帰る頃になって,父は,また少しおかしなコトを言い出した。トイレから帰ってくると,布団をはいでしまっていて,難しい顔をしている。足元の「ベッド柵」をさして,「今日にかぎって,こんなところに柵が入れてある」と言う。いつもあるものなのだが・・・どうも,これがあると,閉塞感というか,ベッドに閉じこめられたような不安感が増すのだと思う。でも,無ければ無いで,危険だから。。。

布団が落ちないためと,父が落ちて骨折などしないためのモノだ,と何度も説明するが,「わかるか?」と聞くと,「わかるような,わからんような」と,眉間にしわを寄せる。一時は,よく,ベッド柵に関して同じコトを言っていたが,最近は言わなくなったと思っていたが・・・久々に出たカンジ。

まぁ,閉塞感のようなものは,理解できるから,その不安を取り除いてやるコトが先決なのだろうけど。。。どうしたらイイのか,わからん。


ベッドを起こしているから,足元が見えるのであって,看護師さんがベッドを倒してくれたら,父もそれ以上,ベッド柵について言わなくなった。オムツを見てもらったら,便がたくさんでている。オムツを替えてもらい,さっぱりしたのか,帰りには笑顔で握手に応じてくれた。


閉店間際の百貨店にとびこみ,さっきのバッグをもう一度見せてもらう。迷ったが,明るいカンジがするので,茶色のほうを購入。ちょっとビジネスバッグ風で,あんまり可愛いカンジではないが,とりあえずたくさん入りそうだし,イイ色だと思う。満足也。


やっぱり,買い物すると,気持ちが晴れるな。
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by rompop | 2007-08-31 20:35 | ホスピタル

2007・8・30 落ち着かない。

今夜も,父は比較的,落ち着いていて,穏やか。

熱も36,9℃と,まぁ,37℃前後の微熱が続いている。もともと,体温は低い方の父なので,これでも,微熱だろうと思う。が,これは仕方ないのかな。


布団をめくると,今日は素足で靴下は履いていなかった。「あれ??」と驚くと,嬉しそうに笑っていた。「脱ぎますっていって,脱がしてもらった?」と聞くと,「そう」と言っていたが,真相やいかに?


栄養の注入はもう始まっていて,今夜は4回ぐらいに分けて注入してもらった。夕刊を買っていったので,なかば強制的に,父にメガネをかけさせ,新聞を読ませた。紙面をめくるのが大変なので,あらかじめ,父が読みやすそうなページを抜き取って,小さくたたんで渡した。父は,素直に読んでいた。

ワタシも,父の足元に新聞をひろげて,読みふけった。


転院の問い合せをしてみます,と主治医が言ったのが,たしか火曜日の夜。次の日に聞いてくれたとして・・・・返事はいつになるのだろう?2~3日だとすると,まだ,返事は来ないか・・・落ち着かない。早く戻りたいような,戻りたくないような。正直,どこが父にとって,いちばん良い場所なのか,ワタシにはわからない。。。


朝,ひどく雨が降った話や,昼前に雷雨になった話などをするが,父は,「知らない」という。あんなに大きな雷だったのに,寝ていたのかな?


「冷房が寒い」と言って,コットンのストールを首にぐるぐると巻いていたワタシを見て,父は,「だいじょうぶ?」と気遣っていた。

そして,7時半頃,「もう,お姉ちゃん,帰ってくれてもいいよ」と言った。お腹がたまらなく空いていたので,帰るコトにした。


本当に父は,ここ数日,穏やかだなぁ。「どうしたんだろう?」と,母と話す。母は,「栄養がちゃんと行き渡って,そんなに身体がしんどくなくなったんだろう」と言う。それもあるけど・・・父は,母が見舞いに行って以来,一度も,「○○が食べたい」と言わなくなった。


よく話を聞くと,母は父に,「しばらくの間,これ(栄養剤)がパパのご飯なんやで」と,言ったらしい。父は,頼みの綱の母にそう言われて,とりあえずのところ,静かにあきらめたのかもしれないな。なんとなく,そんな風に感じる。。。
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by rompop | 2007-08-31 13:59 | ホスピタル

2007・8・29 コール。

父は,氷枕をしていた。熱は,37℃ぐらいだと看護師さんが言うが,中途半端な微熱,こういうのってなんなんだろう。。。


1回目の栄養はすでに入れられたあとだったが,ベッドをギャッジアップするのに,足元を全然上げてくれていなかったためか,父の上半身は下にずり落ちて,なんだかすごく不自然なかっこうになっている。「苦しい苦しい」と父が言うので,持ち上げようとしたが,やっぱり,むずかしい。


ナースコールを押したが,夕食時は忙しいとみえて,看護師さんがなかなか来てくれなかった。3回コールを押して,だいぶ経ってから,「遅くなってごめんね~」と,やっと来てくれた。


少し父の体勢を直してもらい,2回目の注入。


この看護師さんは,大人しいが,すごく清楚な顔立ちをしていて,ホントに「白衣の天使」という雰囲気がただよっている。親切だし,なんでも丁寧なのだが,ちょっとだけ・・・・どんくさい。コールを押してなかなか来れないのも,悪気があるのではなく,きっと,1つ1つのコトに時間がちょっとかかるのだろう。その証拠に,額には汗をかき,ちょっと笑顔が消えかけている。。。



ちょっと暑そうだが,今夜の父は頭もわりとクリアで,機嫌も悪くなさそうだった。やはり,栄養がちゃんと行き渡りはじめたのかな?

「今日は何曜日?」「ママは,どうしてる?」など,寝ているのかと思ったら,ときどき思い出したように,話しかけてくる。驚いたのは,「昨日の雨は大丈夫だった?」と聞いてきたコト。

昨日の帰り,雨が降り出しそうな気配だったので,「傘を忘れたから,降られないうちに,いそいで帰るワ」と言って,病室を出てきたのだ。

・・・昨日のコト,ちゃんと覚えてたんだ。


おしぼりをもらってきて,父に手渡し,自分で顔をふかせる。ふきにくい所だけ,ワタシがふく。手のひらも,じっとりと濡れているので,よくふいておく。


父のベッド脇でいつものように文庫本を開いていたが,眠っているのかと思うと,ちょっと目を開いてこっちを見たり,なにか話をしたそうにする。かといって,これと言って,話題もないようだ。

ワタシも,毎日,職場と病院の往復だけでは,そうそう,新しい話題もない。食べ物の話はNGだし,あまり家のコトを詳細に話しても,帰りたくなってしまうだろうし。。。

でも,なんとか楽しい話をして,気を紛らせてやりたいと思う。毎日,同じベッドに寝ているだけの父。外界の空気を運んでやれるのは,ワタシだけなのだ。と言ってもなぁ・・・・・・


栄養の注入が終わってしばらくすると,胃腸が動くのか,「ウンコしたいな」と言い出した。はて。車椅子でトイレまでもつだろうか。緩いなら,車椅子に移乗しただけで,出てしまうかもしれない。でも,「オムツにそのままして」とは,やっぱり可哀相でいいにくい。

いちおう,ダメもとで看護師さんに聞いてみようと思い,ナースコールを押した。「はい,行きます」と応答があった。コールを押してしまったあとで,父は,「やっぱりしんどいから,トイレへはいかない。我慢しよう」と言う。「我慢しなくても,出てしまったらすぐに言って,オムツを替えてもらうから」と言ったが,そうは言っても,寝ながらじゃ,なかなか便はでないようだ。

看護師さんがやってきたら,「トイレに連れて行こうと思ったけど,やっぱりいいです」と,謝ろうと思って待っていたが,それから10分たっても,15分たっても,ワタシが帰る8時まで,看護師さんは来なかった。


こんなの,すぐにトイレに行きたくても,間に合わないじゃん・・・ねぇ?


とりあえず,帰るコトにした。父は今日は,笑顔でワタシが病室の入り口から消えるまで,こっちを見て,手を振っていた。

父が,笑顔なら笑顔で・・・これまた,せつないものがある。
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by rompop | 2007-08-29 20:52 | ホスピタル

2007・8・28 汗びっしょり。

病院へ着いたら,6時半をとうに過ぎているのに,父のご飯(栄養)はまだだった。夜勤担当の男の看護師さんが,「○○さん,待ってね!すぐするからね!!」と,てんてこ舞い。


父はちょっと赤い顔をして,額も首筋も汗ばんでいる。でも,氷枕じゃなく,普通の枕をしている。


パジャマの背とシーツの間に手を入れてみたら,ものすごく蒸れて熱くなっていて,これ,だいぶ汗かいてるんちがう?下のほうも見てみたが,父の身体全体が熱いのもあるけど,ズボンのほうも汗ばんで濡れてるなぁ・・・まぁ,この分厚い何重にもなったオムツだから,暑いんだろうけど。

「パパ,暑い?」と聞くと,「暑いなぁ」という。見ると,また靴下を履いている。あわてて,脱がして,布団をすこしめくっておく。


看護師さんが,やっと栄養を持ってきた。でも,着替えさせて欲しいなぁ・・・とてもイイにくかったが,風邪をひいても困るので,パジャマも肌着も新しいのに替えてもらった。ついでにオムツも覗いてもらったら,尿が出ていた。でも,汗ばんで湿っているので,もう,全部取り替えてもらった。


かなり,すっきりしたと思う。身体に熱がこもっているカンジがしたので,しばらく布団をお腹のあたりにだけかけて,上半身と足は出しておいた。


今日から,水分補給などの点滴がはずれた。それでも,補助的に補うコトがあった時のために,左腕にルートだけは確保してある。針の上から包帯がぐるぐる巻いてあった。

栄養剤も全量入っている。1日,1200キロカロリー。プラス,水分とナトリウム,お薬。でも,1200キロカロリーって,ホントに最低限のカロリーだ。まぁ,体重がもどってきて,内臓が大丈夫なら,少し増やしていくかもしれないけど。


ともかく,父は,ずいぶん落ち着いていて,穏やかな顔をしていた。気持ちが落ち着いたのか,身体がしゃんとしてきたのか,よくわからないけど。今日は,あまり「しんどい」と言わなかった。そして,「○○が食べたい」とも。もしかしたら,栄養剤がちゃんと入って,空腹をあまりカンジなくて済んでいるのかもしれない。


汗ばんでいた父の顔と手足を,熱いおしぼりで拭いて,足には水虫の薬を塗る。


主治医がやってきて,父の顔色などを見ていた。ひどい下痢ではないにしても,依然として便は緩い。でもこれは,ある程度,段階を経て改善していくのを待つしかないそうだ。

このまま何もなければ,リハビリ病院へ戻ってもらいましょうか。と,具体的に退院(転院)の話がやっと出た。リハビリ病院に空きベッドがあるかどうか,さっそく問い合せしてくれるそう。


リハビリ病院・・・2月からお世話になっていて,父も馴染みのある病院だけれど,今度はもう,同じ3階フロアへ戻るのは難しいだろうな。そして,戻ったとしても,そこにいられるのは1ヶ月。その後の話は,まだ父にはしていない。。。


正直,ワタシは複雑な思いで,主治医の話を聞いていた。


8時前,父はベッド脇のワタシに,「お姉ちゃん,もう帰ってくれていいよ」と言った。雨が降ってこないうちに,帰るコトにした。父は穏やかな顔をして,ワタシを見送った。
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by rompop | 2007-08-28 19:50 | ホスピタル

2007・8・27 険悪。。。

いつもより15分くらい遅れてゆっくりと病院へ。


父は,夕食の栄養剤を入れてもらったところだった。看護師さんに尋ねると,37℃の微熱。。。どうしてこう,微熱が出るのかな?

でも看護師さんが「とってもいい表情しておられる」というとおり,今日の父は明るい柔和な表情をしている。眉間にシワもないし,口もむっつりとはしていない。

昨日,母が来たせいだと思う。母が来ただけで,父はこんなに落ち着くんだ。。。母の威力,絶大。


いつになく,父が笑顔なので,「口の中,冷たい水で拭いてあげようか?」というと,いつもは「いらない」というのに,今日は「やって」という。

はりきって,コップに氷をもらってきて,給湯器から緑茶をそそいで,うんと冷たくした。滅菌ガーゼを浸して固くしぼり,3回ガーゼを替えて,拭いてやった。「さっぱりした」と,珍しく喜んでくれた。


そこまではヨカッタのだが,看護師さんが「オムツどうですか?」とやってきて,父が「大丈夫」と答え,看護師さんが行ってしまったあと,ワタシが「ホントにオシッコもウンコも出てないか?」と根掘り歯堀り聞いた。なんとなく・・・出てるんじゃないかな?って思ったから。

父が「オシッコが出てる」と言ったので,「じゃあ,今,看護師さんが来たとき,言わなアカンやん!!」と言った。そしたら父は,「今は出てないよ」という。

「出てるの?出てないの?ホントにウンコもオシッコも出てないか??」と聞くと,父はどんどん険しい顔になっていって,「なんでお姉ちゃんが,そんなコトを聞くの?」「カンジ悪いなぁ!」と,すっかり怒ってしまった。


ウンコが出ているのに,そのままにしていたら,治りかけた皮膚炎が,また悪化してしまう。だから,父の下痢便にはとてもナーバスになっているのだ。皮膚がただれて,あんなに痛がっていたのは,父なのに。


ワタシも多分,「あの日」の前なんだなぁ。。。いつもなら,流せるコトなのに,腹がたって仕方がなかった。よっぽど,「ほな,帰るわ」と言って,帰ってこようかと思った。でも,我慢して,10分くらい怖い顔をして,黙って文庫本を読んでいた。


父も口をとがらして,目をつぶっていたが,だいぶ経ってから,薄目をあけてこちらを見ている。ワタシと目があっても,黙ってこちらを見ているので,まだ何か言いたいコトがあるのかと思って,「何よ!?」と聞くと,「・・・どうしてるかと思って」と言う。「本,読んでるんやんか」「・・・そう」

ワタシの機嫌が悪くなったので,ちょっと,気にしたようだ。そうなると,病人相手に,また可哀相なコトをしたかな,と思う。


8時。帰るコトにした。オムツは放っておこう。気持ちが悪ければ,自分で看護師さんに言うだろう。父にも,まだまだ,プライドがあるのだ。
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by rompop | 2007-08-27 20:34 | ホスピタル

2007・8・26 誠サマディナー・ショーIN名古屋。

病院を出てからは,ダッシュでJRに乗り,京都駅まで。あらかじめ乗り換え案内を調べておいたので,とってもスムーズに,2時過ぎには名古屋駅に着いた。

お友だちと合流して,ホテルのお部屋で着替えさせてもらい,午後4時。名古屋国際ホテルでの,誠サマのディナー・ショーが始まった。


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今年は無理だとあきらめていたけれど,どうしても行きたくて,前日に申し込んだ。もう満席かも。。。と思っていたら,S席テーブルがわずかに残っていた。ホント,ぎりぎりセーフ。ちょっとメインステージからは遠かったけど,花道も突き出し舞台もよく見えて,よいテーブルだった。

病院の帰りにふらりと寄った百貨店のバーゲンで,着るアテもなく買った,『ロートレアモン』のサーモンピンクのシフォンのドレス。靴やバッグ,ネックレスは全部,手持ちで間に合った。いろんなコトが,ちゃんとうまく回ってくれたような気がするのは,気のせい?

お食事と1時間ちょっとのショーで34,000円という額は,安いとは思わない。でも,ディナー・ショーって,なんていうか,癖になるんだよね。非日常感が,とてもイイ。

特に,今は,ああいう華やかな場所にちゃんとお洒落して出かける,っていうコトが,大事かと。もちろん,そんな気持ちになれない状況じゃないから,行く気にもなれたのだけど。

お料理も,わりと美味しかった。


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☆ディナーのお品書き。年輩のお客が多いせいか,和洋折衷のフレンチ?お箸でいただきました☆


誠サマは,今日もすごく綺麗だった。衣装も新しいモノが多くて,お金がかかっているから,贅沢な気分になれる。

終演後は,疲れているのに,ちゃんとお客さん1人ずつと握手をして,言葉を交わしながらお見送りをしてくれる。「お父さん,大丈夫なの?」と,また心配していただいた。「大丈夫です,ありがとう」と答えた。


9月には東京明治座での座長公演だ。チケットはもう届いている。行きたいが,行けるのかなぁ。。。ますますもって,9月の予想がまったくつかなくなってきた。


帰りも,とてもスムーズに,新幹線に乗ってから1時間半後には,自宅へ。


夕方,ワタシのかわりに,母が2時間ほどタクシーで病院へ行ってくれた。父は。。。。ものすごく,喜んだらしい。母が止める間もなく,ナースコールを押してしまい,やってきた看護師さんに,「家内です」と紹介したとか。検温にきた看護師さんにも,いちいち「家内です」と紹介したそうだ。

ほかの患者さんたちは,奥さんがメインに面会に来ているから,父はずっと羨ましかったのかもしれない。やっぱ,母が一番なんだなぁ。。。

ワタシがいるときは,平気で寝てしまうが,母がいる間は,居眠りもせずに,ずっと家のコトをあれこれ聞いて,喋っていたそうだ。

時間が遅くなり,父が母を気遣って,何度も「もう帰っていい」というので,母はつい,「ご飯がくるまでいるよ」と言ってしまったらしい。そうしたら,父は,平気な顔で,「ご飯ったって,現物は来ないよ」と言ったそうだ。母には,一度も,「何か食べたい」と言わなかったらしい。


まぁ,ともかく,母の体調も良く,父も喜んでくれて,ワタシも楽しい思いができたし,すべて上手く回った。。。というコトで。神サマ,どうもアリガトウ。
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by rompop | 2007-08-27 20:33 | 誠サマ

2007・8・26 着替え。

重い紙袋をさげて,11時前に病院へ。この時間に来るのは,珍しい。いつもと違う時間帯に来ると,病院内の様子も微妙に違っていて,面白い。


病室に着くと,父のベッドはカーテンで囲われ,看護師さんが中に入っていた。どうやら,オムツ交換をして貰っている様子。「○○さん,××しますね~」という優しい声に,父は,「えぇ,好きにしてください」と答えた・・・ように聞こえた。「好きにしてください」って,今言った??と,ワタシの頭のなかは疑問符がいっぱい。


少し覗くと,看護師さんが「あぁ,今,お下の洗浄しているんです」という。あぁ,そうか。プログラムに入っている「陰部洗浄」というヤツか。「お願いします」と言って,外で待っている。


終わったあと,看護師さんが困ったような顔をして出てきて,「身体を拭いてお着替えをしたいのですが,いくら言っても,イヤだと言われて・・・」と言う。父は不機嫌そうな顔で,「しんどいから,明日でいい」などと言うが,「曜日が決まっているんだから,ちゃんとやってもらい。不潔にしてたら良くないから」と言って,看護師さんにお願いする。

多分,寝たままの着替えは,あっちを向いたりこっちを向いたり,腕を曲げたり伸ばしたり,腰を持ち上げたり,そこそこ負担なのだろう。でも,腕を曲げてパジャマの袖を通すのも,腰を上げさせるのも,リハビリのうちだ。寝たままでは,腕も足も,固まってしまう。


父は,またもや不機嫌MAXで,看護師さんが優しく声をかけても,うんともすんとも返事をしない。終始無言のまま,黙って着替えをされていた。


終わって,「どうや?さっぱりするやろう」と言っても,「うん」と言ったきり,むっつりと目を閉じてしまった。

午前中のこんな時間は,まだ眠いのかなぁ。父は昼の栄養まで,ずっとワタシには目もくれず,眠っていた。


毎日,10時過ぎごろに病院へ来ている弟が,「寝ていたので一言も喋っていない」だの言うので,それは不仲な弟だからだ,と思っていたが,あながちそうでもないのかも。なんだか,甲斐のないコトだなぁ。

しかたなく,父の枕元の,手つかずの『文芸春秋』をパラパラ読んでいた。急に「今日は何曜日?」と甲高い声で父が尋ねる。「今日は日曜日」と答えると,「ふうん」と,また目をつぶってしまった。


することがないので,ヒゲを剃ってやった。おしぼりで顔を拭いてやっても,以前のように「気持ちいい」と喜ばないので,父に手渡して,自分で好きに拭かせた。なんだか・・・父は,すべてのコトが,もうどうでもよくなってしまったように感じる。


お昼の栄養のあと,ビオフェルミンを溶かした水を,注入。看護師さんがちょっと失敗,チューブから逆流した水分が,シーツと父のパジャマの袖を濡らしてしまった。

「いやぁ~ごめんねぇ。着替えたばっかりやのに,ごめんねぇ」と何度も謝りながら,濡れたパジャマの上着を,また交換。父はもう,むっつりと無言で「どうにでもしてくれ」なカンジだった。


1時前になった。時計ばかり見ていたワタシだが,「パパごめん。今日は用事があるから帰る。」と言う。父は,「はい,どうぞ」と言う。ちょっとだけ気が咎めるが,今日は夕方に母が来てくれるはずだ。でも,父にはまだ内緒にしておこう。母の体調が変わらなかったら,きっと嬉しいサプライズになるから。
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by rompop | 2007-08-26 22:32 | ホスピタル

2007・8・25 怒鳴る。

ご近所の工事の音で,朝から目が覚める。うるさいなぁ,もう・・・。でも,母に愚痴をこぼしたら,「朝の8時なら,もう文句言えないよ」と言われた。まぁね・・・


洗濯と掃除。あぁ,部屋が汚いなあ。。。


3時30分に家を出て,病院へ。


いつものように「よぉぉ」と手を挙げながら入っていくと,父はワタシの顔を見て,ニッコリした。ちょっとホッとする。しかし,間もなく,「お腹がすいたなぁ」と言い出した。

「あれ?朝と昼の栄養なかったん?」(どうしても,まだ「食事」とは言えないワタシ)と聞くと,「そんなもの無かったよ」と言う。あれぇぇ??

今日の父は,熱もなく,特に下痢が酷そうなわけでもない。栄養中止の理由もないし・・・


父の言葉を間に受けて,看護師さんにこっそり尋ねてみたら,「ええ,朝も昼も,ちゃんとありましたよ」とのコト。


「パパぁ・・・ちゃんと栄養あったってよ。ウトウトしていて,覚えてないんちがう??」と言うと,「勝手に入れられたらかなわんな・・・」と言う。「なんで?」と聞くと「だって,口からのほうがいいから」と。「・・・・・・・」


そして,「人が寝ている間に勝手に入れるなんて,看護婦の悪質な手口だよ」と,眉をひそめて言う。もう,なんていったら,いいのか・・・。「勝手には入れないと思うよ。ちゃんと声をかけるはずだから,パパ,ちゃんと起きてなあかんわ」と言う。


6時,夕食の配膳が始まった。父は目をつぶっている。


お隣の,パーキンソン病のおじさんは,奥さんと娘さんが食事の介助に通ってきている。カーテンの向こうで,「今日はなにかなぁ・・・わぁ,お父さん。美味しそうやで。ハンバーグにあんかけやわ」という声が聞こえる。それらしい匂いがする。

こういうのは,何度聞いても,むごいなあ・・・と感じるのは,こっちの都合なのだろう。


父の斜め向かいにいる患者さんは,一日中,カーテンをくるりと囲って,ひきこもっている。気が滅入るのか,時々,かんしゃくを起こしたような声を出して,ワタシたちを見ても,にらみつけるようにするので,あまり好きじゃない。

今日は特に機嫌が悪いのか,それとも容態が悪いのか,夕食を病室に響き渡るぐらいの音をさせて,乱暴に食べている。汁気のおおい食事を,流し込むかのように,ズルズルと大きな音をさせて。ラーメンでも食べているみたい。


父がふと,「あぁ,焼きうどんが食べたいなぁ」と言った。「うん」と言うと,「それか,焼きそばが食べたいなぁ」と言う。父もやはり,この音で麺を連想したのか。「・・・うん」と,言って知らん顔をしていると,急に父が怒鳴るように大声をはりあげた。


「スズメの子~そこのけそこのけ,お馬がとおる~」「やれ打つな~ハエが手をする,足をする~」


ワタシもギョッとしたが,病室中が,一瞬,しーんとしてしまった。なんだかよくわからないが,「・・・それ,小林一茶?」ときくと,父は落ち着いた声で「そうそう。一茶だ」と言った。


そして今度は,「春の海~ひねもすのたりのたりかな~」と,また百人一首でも読むように,大声をはりあげた。

「・・・・・それは,誰や?」「これは蕪村だね」「ふうん・・・」



「他の人に迷惑だから大声ださないで!」とは言わない。もう,いいよ。病院なんだから。おかしい人は,他にもたくさんいるんだから。父だって,時には大声を出したくもなるのだろう。


あれ?スズメの子・・・は,一茶だっけ?良寛さんじゃなかった?国文卒なのに,ワタシもこういうのは自信がない。



ほかの人たちの食事があらかた終わったあと,6時半ごろ,父の栄養が始まった。父は今度はしっかり目をあけて,注射器からチューブに注入される様子を,じっと見ていた。


看護師さんが「10分したら,また入れに来ますね」と去ったあと,「もったいないことをするねぇ」と言う。「なんで?」と聞くと,「口から入れればいいものを」「・・・・・」


ここへ来る直前,ワタシと弟が一ヶ月間,昼と夜に食事介助に通い,絶対にむせないように,誤嚥しないように,まるで見張るようにして,父に食事をさせた。ワタシたちもキツかったが,父も,かなり辛かったに違いない。

父にそのコトを覚えているかどうか,尋ねてみた。「それって,いつのこと?去年のコトか?」・・・父はもう,忘れてしまっているようだった。


自分にとって,しんどかったコトとか,イヤだったコトって,余計に記憶から抜け落ちてしまいやすいのかな。


7時過ぎ,帰るコトにした。「もう帰るよ」と言いながら,父の歯をみたら,下の歯茎から血が出ているように見えた。歯槽膿漏かな・・・気になったので,「ちょっと歯見せて。イーってしてみて」と言うと,父は「イーっ」と言って歯を見せた。歯茎をさわって観察していると,それが不愉快だったのか,「イーっ,イーっ,イーっっ!!!」と,だんだん声を荒げて怒鳴り,ワタシを睨みつけた。


「わかったわかった」と,退散。


癌患者などが,自分の状況を受容していく過程で,「怒り」にとらわれる時期があると,なにかの本で読んだコトがある。あれ?癌患者じゃなくて,親しい人を亡くした人のコトだったか?とにかく,人は,いくつかの段階を経て,物事を静かに受容していくのだ。


やたらに怒鳴る父を見ていて,そんなコトを思い出していた。
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by rompop | 2007-08-25 17:56 | ホスピタル

2007・8・24 不機嫌。

今日の昼から,胃ろうの栄養が再開。

6時30分に着いたら,ちょうど始まるところ。


逆流しにくいように少しトロミをつけたものを,大きな注射で3回に分けてチューブに注入する。1回注入すると10分の間隔をあける。その後,ベッドを起こしたまま30分。

今までに比べて,あっけないくらい短時間で済んだ。体にあうといいなぁ。


注入する時,「気持ち悪くないか」とか「お腹痛くないか」とかアレコレ聞いたら,「そう神経質にカリカリされちゃたまらないな」と父は不機嫌になった。


それでも,昨日よりも肌に少し赤みがもどったような気がする。


しばらくして,父が「明日からはオカズがつくんだね」と言う。

「オカズはつかない。これがパパの食事だから。。」と言うと,「いや,どんな具合になっているのかと思って。。。」と,やや失望したようだった。


「ずっと」とは,とても言えなかった。

「当分のあいだ,これがパパのごはん。仕方ないよ」といい聞かせた。息もたえだえな気持ちで。


そのあと,靴下を無理矢理脱がせ,水虫の薬を塗る。足の爪を切る。父の不機嫌はMAXだ。


今夜は,父は最後までワタシに笑顔を見せてくれなかった。
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by rompop | 2007-08-24 20:50 | ホスピタル

2007・8・23 明日から,再開。

今夜の父。熱はさがっているようだ。でも,栄養がずっと足りないせいか,顔色が白っぽくて,元気がない。まぁ,元気を出せ,っていうほうが無理なんだけど・・・


栄養が足りないせいか,ずっと伏せているせいか,頭もぼんやりしていて,なんだか会話が時々,「とんち話」みたいな具合になる。父がトンチンカンな言動をしても,以前ほどショックを受けるコトはなくなったが(こういうのは,慣れちゃいけないのか・・・),なんだか虚しい気分になる。


水虫の具合をチェックする。なんか・・・・酷くなっている。無理矢理,靴下を脱がせて,薬を塗ろうとすると,「もう,触らなくていいよ!」と嫌がる。「アカン!悪化してる!」と,無理矢理薬を塗る。足の指を広げると「痛いなぁ!」と怒る。「パパのためにやってるんやろう!」とこちらもキレかけると,「じゃあ,好きにしたらいいよ!」と,父もキレる。


やれやれ・・・・誰が好きこのんで,人の水虫に薬なんか塗りたいものか。



しばらくお互いに口をきかなかったが,父が,ひらひらと手を振ってワタシを呼ぶので,父の顔の向いているほうへパイプ椅子を運んで,「なに??」と座った。


「あのねぇ,バナナを買ってきといてくれる?」

「バナナ・・・・パパなぁ,そんな固形物は食べられへんよ。今までずっと,ドロドロのミキサー食やったやろう?それでも詰まって,肺炎になっちゃったんやで・・・・」

父はしばらく,じっと考えている風だったが,「・・・・あぁ,そうだったねぇ」と言う。「仕方ないなぁ?」と言うと,「・・・・仕方ないね」と言う。けど,何かをずっと考えている風。

しばらくしてから,「そうそう,じゃ,キビナゴを買ってきて」と言う。キビナゴ?キビナゴって,なんか魚だったっけ?「イカナゴのこと?くぎ煮?」「あ,そうそう」

「・・・・だから,それも無理やわ。そんなん食べられへん」「・・・・じゃ,しょうがないね」


腹が減っているから,食べ物のコトしか考えられないのだろう。「明日のお昼から,栄養入れてくれるって。看護師さんが言ってたよ」というと,「あ,そう」と,ちょっとだけ嬉しそうにする。

「お腹が空いてるから,食べ物のことばかり考えるよなぁ。栄養が入ったら,少しはお腹ふくれるから,辛くなくなるよ」「そうだね」


7時半頃,主治医がやってくる。父の発熱は,やはり「誤嚥」によるものだったという。唾液などの誤嚥なのか,栄養剤の逆流なのか,それは定かではないが,誤嚥による肺の炎症には間違いないそうだ。

「言い方は悪いですけど,今後,こういう誤嚥は,避けられないです」と,申し訳なさそうに主治医が言う。

「でも,熱が出ても,すぐに下がれば問題ないのです」


要するに,体力,抵抗力,免疫力,なんでもいいが,その力さえ父にあれば,多少の誤嚥があっても,発熱があっても,さほど怖がるコトはないのだ。

そう,そのために・・・・体力をつけるために,胃ろうを作ったのだ,と,また自分を納得させるために,胸のなかで繰り返す。ほかに選択肢がなかったのだ,と。



「明日のお昼から栄養再開ですからね。もう少し我慢してくださいね」と,主治医が言う。父は,笑顔で「はい」と応えている。

でも,主治医が去ったあとも,父は,目を開けたり閉じたりしながら,ずっと空(くう)を見つめている。何を考えているのか・・・・・・ワタシには,本当に父が今,感じている気持ちは,わからないのだろうな。
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by rompop | 2007-08-23 19:37 | ホスピタル