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2006・8・12 『あわれ彼女は娼婦』。

『あわれ彼女は娼婦』

シアターBRAVA! 8月12日 昼の部。

3時間強の芝居,
中世を舞台に,兄妹の近親相姦をテーマにした重厚な作品。
主演の兄・ジョバンニを演じるのは,三上博史。妹・アナベラには深津絵里。
アナベラの夫・ソランゾは,谷原章介。
脇は,蜷川の舞台ではおなじみの俳優をはじめとして,
キャリアのある役者たちががっちりと固め,手堅い演技を見せていた。

シェイクスピアの芝居もそうだが,ワタシはどうも,あの長々とした,
形容詞がいっぱいで,比喩的表現に富んだ古典の台詞が,苦手だ。
役者が懸命に演じて,こちらへ届けようとしている感情が
時として,まわりくどい言葉の渦に,さえぎられる。

加えて,中世という遠く離れた時代特有の,倫理観や,宗教の問題。
階級の違い,国の違いによる,デリケートな感情や意識。
やはりそれらは,ワタシにとって,高いハードルだった。


それでも,三上さんの吐く台詞は,すんなりとこちらの胸へ入ってきた。
ジョバンニの言葉は,りんと際立って,立っていたと思う。
舞台からの去り際の,姿の美しさ。身体能力の高さを感じた。

メインの3人に加えて,さまざまな人間関係があり,
さまざまな感情のもつれと,「復讐」がある。
そこで,やはりどうしても理解できない部分が出てくるのは,いなめない。
初見ですべてを理解するには,とても深くて,難しい作品。

だから,ワタシは,三上さん(ジョバンニ)の感情の流れだけに,
気持ちを添わせるようにして,観た。


初めから出口の見えない,「近親相姦」という名の恋愛だった。
結ばれればさらに,妹が身ごもればさらに,絶望的に出口は無くなった。

妹の夫,ソランゾの「復讐」の計画の日に,
ジョバンニは妹の腹をひと突きに刺し,その生を奪う。

その直前,何度もキスを交わし,
「僕を許してくれ」と,わびる。
その一言の台詞は,とりわけ生々しくて,
血を吐くようなジョバンニのまるごとの感情が
ストレートにワタシの胸にきて。。。涙が出た。

妹のアナベラは,死を覚悟してはいたが
兄の手によってそうなるとは,思いもしなかっただろう。
苦痛に大きく頭をのけぞらせて,彼の腕の中で「むごい・・・」とつぶやく。
それでも,こうなってしまった兄を,自分を,
どうか許して欲しい,と,天に許しを乞い,息絶える。
最期まで変わらぬ兄への愛とともに。

実際にはそうはしなかったが,ワタシには,アナベラが,
涙を流しながら自分の腹を刺す
ジョバンニの頭を,抱きながら,逝ったように見えた。


ジョバンニは,アナベラの返り血を浴びた姿で,宴席にあらわれ,
人々を次々に刺してゆく。
刃には,遺体からくりぬかれたアナベラの心臓が刺さっている。
人々の前で,彼はその血に染まった一片を口にする。
人々の悲鳴。二人の父は,あまりの光景にショック死してしまう。

とても凄惨でショッキングなシーンだが,
「ジョバンニは,本当に凄まじくアナベラを愛しているのだ」
とあらためて感じた。
相手の血肉を,自分の血肉と同化させる。
なんという,激しい愛だろう。

舞台上のすべての登場人物がそう思っただろうが
しかし,これはただの凶気のカニバリズムではない。
その証拠に,常軌を逸してはいるが,彼の目は,しっかりと開かれて,
なにかを見据えている。

だが,本当になんという愛しかた。。。。。
こんな愛は,誰にも理解されない。きっと,神にさえも。

血まみれで刃をふりまわし,人を刺せば刺すほど,
悲鳴があがり,血があふれればあふれるほど,
ジョバンニは,ますます,この世界で独りきりだった。
孤立無援のその姿,彼が可哀相で可哀相で,涙があふれた。
可哀相で,崇高な姿。
血まみれの姿は,汚く,美しかった。

宗教だの,復讐だの,正義だの,難しいコトはワタシには,わからなかった。
でもこれは,あまりにも崇高で悲痛な,愛の物語。
そんな愛を体現して見せた,三上博史と,深津絵里。二人の役者。


悲しい場面,怖ろしい場面がたくさんあったのに,
なぜか心に残っているのは。。。

初めて結ばれたあとの,
ジョバンニのこのうえなく嬉しそうな優しげな笑顔,
ふりかえりざまに,白いカーテンを
さっといたずらっぽく翻して,扉の奥に走りさった軽やかな姿。

そして,輝くようなアナベラの上気した可愛らしい表情。。。。。
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by rompop | 2006-08-14 10:20 | 三上博史&『ヘドウィグ』

2006・8・2 F胃腸科病院。

父が,1泊入院で,大腸ポリープを切除する日。

午後3時から,内視鏡による切除なので,朝から下剤を大量に飲み,
腸を空にする必要がある。
下剤の効きぐあいがわからなかったので
朝からタクシーで病院へ行き,
待合室で,下剤を作って飲み,スタンバイする事にした。
粉末状の薬に,水を加えて振り,薄い白濁色の下剤のできあがり。

父は,10時から下剤を飲み始めた。
1時間のうちに,約1,5リットルの下剤。
途中で,何度もトイレへ駆け込みながら,無事,飲み干した。

父がトイレへ行っている間に
ワタシと母は,持ってきたおにぎりを,こっそりと口に入れる。

午後3時。25分ほどで,内視鏡検査とポリープの切除終わる。
ポリープは2つ。
いちおう組織検査に回されるが多分,悪いものではなさそうだ。

軽い麻酔をかけたため,少しフラつく父は,
車椅子に乗せられて,3階の病室へ。
個室ではなく,とても狭い部屋に2人の相部屋。
ベッドとベッドの間もとても近く,圧迫感がある。
1泊だから,我慢するしかない。

止血剤の点滴のあと,6時の夕食。
お粥と,シチュー,サラダなど。
腹が減っているのか,父はすごい勢いで食べたが
美味しいか,と聞くと,「・・・不味いな」とのコト。
夕食を食べ終わったので,膳を返し,母とワタシは帰ってきた。
もう少しいてやりたいが,ワタシも母も空腹で,疲れていた。

「帰りに美味しいラーメンでも食べようか」と話していたのに
母は疲れたのか,「まっすぐ帰る」という。
タクシーで家まで直帰した。

経過がよければ,明日の昼過ぎに父は家へ帰れる。
昼頃,病院へ迎えに行かなければ。





朝食 苺ジャムとマーガリンのトースト,ミルク。
昼食 梅干のおにぎり2個。
夕食 キャベツとウィンナーの炒めもの,肉じゃが(昨夜の残り),ワカメと玉ねぎの味噌汁,ぬか漬け。
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by rompop | 2006-08-03 02:24 | ホスピタル