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2006・3・9 3軒茶屋婦人会・『女中たち』。

夜は,Sちゃんと梅田茶屋町ドラマシティにて,「3軒茶屋婦人会」の『女中たち』。がんばってタクシーを飛ばしたら,待ち合わせの時間よりずいぶん早く到着。しかたがないので,1階のスタバで時間をつぶす。

コーヒーが飲めないワタシは,キャラメルソースのかかったホットミルクと,ハム&チーズのホットサンド。ホットサンドは,なかなか美味しかった。

19時開演。席はネットの先行予約でとったので,2列目。少しだけ上手寄りだが,よく見える。

「3軒茶屋婦人会」は,もと「東京壱組」にいた大谷良介と,「花組芝居」にいた篠井英介,深沢敦の3人ユニット。20代の頃に,よく劇団の舞台で観た人たちだ。ワタシは,昔から,現代劇での女形が綺麗な,篠井英介さんが好きだった。
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このユニットが,旗揚げ公演に選んだ演目は,ジャック・ハイフナーの『ヴァニティーズ』。そして2本目が,ジャン・ジュネの『女中たち』だという。偶然にも,どちらもワタシが愛してやまない戯曲。今時,こんな戯曲を選んで演じようという人は,そうそういない。


『女中たち』は,あるお屋敷に女中として住みこみで働く,若くて貧しい姉妹の話。姉のソランジュと妹のクレールは,女主人の留守中に,部屋に入りこみ,ドレスや宝石,化粧品をこっそり拝借して「奥さま」になりすます,という「ごっこ遊び」を,夜な夜な繰り返していた。1人が「奥さま」に。1人が「女中」に。そして,罵られ侮蔑された「女中」は,反乱を起こし,ついに「奥さま」の首に手をかける。。。しかし,いつもその一歩手前で,「ごっこ遊び」は時間切れとなる。

空想上の「奥さま」の首に手をかけられないのは,2人が,女主人を畏怖しているせいでもある。美しくて金持ちの優しい「奥さま」。貧しく若い2人は,女主人に,憧れていた。同時に,うらやみ,恐れ,ひどく憎んでもいた。

今朝,事件が起きた。女主人の愛する「旦那さま」が警察に逮捕されたのだ。2人が警察に投函した「密告の手紙」のせいで。愛する人が連行されるときの,「奥さま」の取り乱した様子を見て,2人は満足し,興奮した。

しかし,牢獄の「旦那さま」から,保釈された,との電話がかかってくる。これで「密告の手紙」がばれれば,すべてはお終いだ。2人は,空想ではなく,現実の「奥さま」を殺そうと計画する。

しかし,薬入りのお茶を,「奥さま」に飲ませる計画は失敗し,「奥さま」は保釈された「旦那さま」のもとへ,喜びに輝いて出かけて行った。残された2人は絶望する。姉は「逃げよう」と妹を説得するが,妹は応じない。どこにも行く処など,ないのはわかっていた。「今度こそ最後まで行きましょう」と,妹は「奥さま」のドレスを羽織り,あの「ごっこ遊び」を始める。そして,「女中」の姉に命じ,テーブルの上の,薬の入った冷めたお茶を受け取り,いっきに飲み干す。



とても複雑な構造の難解な戯曲だと思う。「ごっこ遊び」に興じている時と,ただの女中に戻った時の落差。薄汚い台所と屋根裏部屋に封じこめられた,むんむんするような若さと焦燥感を持て余しているような,2人の饒舌なお喋り。言い争い。姉も妹も,自分の人生を憎み,自分を映す鏡のような相手の存在を憎まずにはいられない。しかし,同時に,深く愛しあってもいる。「奥さま」と呼ばれる女主人に対する2人の複雑な感情。同性であるからこそ,羨ましく,憧れ,そしてひどく憎んでもいる。「美しく優しい」奥さまを,おとしめ,苦しめたいという衝動から,2人は逃れるコトができない。

まるでシェイクスピア作品のように,長々と続く膨大な台詞。実際に音声で読んでみるとわかるが,とても難しい。

姉のソランジュを,大谷良介。見かけも声も男そのものだが,少し不細工でごつごつした女にちゃんと見えた。こういう女は確かにいるな,と思う。その「美しくなさ」がソランジュを際だたせていた,といったら,本人に失礼だろうか?失礼だろうな。。。ラスト近くの,ソランジュの長台詞はとてもよかった。

妹のクレールは,篠井英介。黒のビスチェで登場するシーン,肩や腕,背中から腰のあたりの曲線に見惚れた。とても華奢で,女性のようだった。努力しているのだろうな。年齢はワタシよりも上のはずだが,顔も身体もとても美しかった。あまり歳をとった感じがしないのは,舞台だからだろうか。綺麗で少し生意気な妹役は,ぴったりだった。

「奥さま」役は,深沢敦。小柄でころころ太った,童顔の可愛いキャラは,全然かわらない。ドレスがとてもゴージャスだったが,何度もくりかえされる「美しい」という賛美の言葉が,妙に浮く。もしかしたら,「奥さま」は,本当は美しくもなんともない女なのかもしれない,という想いがよぎる。となると,さして美しくもない主人に,へつらい,崇め続けなければならない若い少女たちの,屈折やいかに。

でも,待てよ。「奥さま」が美しくなかったら,彼女たちは「奥さま」をこんなにも憎むだろうか?女というのは残酷なモノで,どんなに富や名声を持っていても,美貌がなければ,同性からそう妬まれはしない。すべてがあり,その上で美しいから,どうしようもなく「負け」なのだ。やはり,「奥さま」は,本当に威圧的なほど美しくなければ,この話は成立しないのかもしれない。

舞台セットは,豪奢な「奥さま」の部屋。ベッドや鏡台,白や淡い黄色のたくさんの花が花器にいけられ,無数に飾られている。場面によって花器の配置が変えられ,ラストシーンでは,毒入りのお茶を飲み干すクレールを囲み,まるで葬式の花のようになる。

部屋を取り囲むのは,大きな金色の支柱や,壁。窓の外にはバルコニー。それらは天井から吊り下げられており,場面によっては,グラグラと揺れ動く。固定されていると思いこんでいた舞台装置が,2人を囲んでグラグラと揺れた時の驚き。現実世界の足元がぐらつくような,2人の不安や心の闇の部分をビジュアルで表現していて,斬新だと思った。

ラスト近く,追いつめられたクレールが,最後に「奥さま」を演じようとし,それが,妹を「解放」してやるコトになるのだ,と,ソランジュは悟る。お茶を飲み干す前に,「ワタシを忘れないでね」と,篠井さんのクレールが,大谷さんのソランジュの唇に,強くキスをする場面は,とても印象的だった。

ワタシは「この台詞をどういう風に言うのだろう」と思いながら,ワクワクと観ていたので,どの場面もとても面白かったのだが,案の定,しょっぱなから「置いてけぼり」を喰らったらしい客も。しかし,3列目で,周囲に響き渡るような激しいイビキをかいて,寝るかなぁ。舞台に聞こえるんじゃないかと,冷や冷やした。まぁ,そういったモノも含めて,役者さんには勉強なのかもしれないけれど。

Sちゃんがあとで漏らしていたように,これはフランス文学の翻訳モノなので,特有の「階級意識」みたいなものが,濃厚だった。日本人には,今ひとつピンとこないが,それがわかれば,もっと戯曲の世界を理解できるかもしれない。


帰りは,Sちゃんと「かっぱ横町」の居酒屋で夕食。小一時間だったが,いろいろお喋りして楽しかった。『パンドラの鐘』のビデオテープも,何年ぶりかで戻ってきたし。





朝食 イカナゴのくぎ煮でお茶漬け,ミカン。
昼食 カップラーメン(ミソ味),紀州梅のおにぎり1個,ゴボウサラダ,ワカメの味噌汁。
間食 スタバで,ハム&チーズホットサンド,ホットミルク。
夕食 居酒屋にて。
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by rompop | 2006-03-11 22:21 | 映画・舞台・音楽

2006・2・26 原マスミ 冬の京都~独り弾き語り。

12時過ぎまで眠ってしまった。外は雨。

4時に烏丸でYちゃんと待ち合わせしているので,時刻表などを調べ,食事をする。雨はますます降っていて,くじけそうになるが,テンションを上げて家を出る。

烏丸から市バスに乗り,堀川丸太町で下車。ぼつぼつ歩いて,ライブハウス『拾得』についた。5時半開場なのに,4時半についてしまった。恐る恐るドアを開けて,店の人に「ライブの整理券とかないんですか?」と聞くと「ないですね」と言われる。「じゃあ,開場まで外で待っていたらいいんですね?」と言うと,「そうですね。。。でも,待たれないほうがいいと思いますよ」
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「待たないほうがイイなんて言われたの初めて」と,Yちゃんと外へ出て大笑いする。店にしてみれば,予約の電話やメールで,あらかじめ大体の人数は予想できるから,並ばなくても十分座れると思ったのだろう。考えてみれば,原さんに失礼だなぁ。でも,ワタシは,原さんのライブはいつも,一番前で見たい。Yちゃんには悪いが,つきあってもらって,店の前で約1時間,お喋りをしながら時間を潰した。


5時半,開場。受付で前売り料金3,000円を支払い,1番に店内に乗りこむ。初めて足を踏み入れた『拾得』は,古い酒蔵を改造した,とても雰囲気のある店だ。店内のテーブルは全部,どっしりした木でできていて,椅子は酒樽のようなモノに,座布団が敷かれている。隅には,畳敷きのスペースも。
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ワタシたちは,ステージの一番前,大きな丸い木のテーブルに陣取る。よくライブで顔を会わせる人たちも,同じテーブルに座り,開演までお喋りをしたり,ちょっと早めの夕食を取ったり。

お店のHPを見て,最初から「美味しそうだよね」と言っていた『チキン豆カレー』と梅酒のソーダ割りを注文。玄米ご飯に,豆がいっぱい入った,ほどよい辛さのチキンカレー。とてもヘルシーで美味しかった。玄米とカレーって,合うんだなぁ。
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オープニング・アクトが数曲あり,いよいよ原さんの登場。白い長袖のTシャツ(黒いキスマークのイラストがたくさんついていた)に,ジッパーのたくさんついた黒のパンツ,フードのついた黒いコットンのジャケット(胸には缶バッチがたくさん)。靴はエナメルっぽい素材の,黒いあげ底のスニーカー。髪はいつものように,ディップでちょっとラフなカンジにはねている。すごく可愛い。というか,絶対,50歳には見えない!

もう,目の前の至近距離で歌う原さんから,目が離せなかった。やっぱり一番前は最高。ギターのコトはよくわからないが,ものすごく上手いらしい。指が魔法のように早く動いていた。

大きくて優しい,お店の雰囲気と,原さんの声音が見事に融合して,ホントに素敵な空間だった。この人の声や歌は,どうしてこんなにも,ワタシの心の琴線に触れるのかな。何度聴いても,同じ歌でも,全然,飽きない。ずっと,永遠に聴いていたい。

ライブのたびに,選曲は若干違うが,ワタシの好きな歌が何曲もちゃんと聴けたので,満足。『海のふた』の熱唱は圧倒的で,いつ聴いても,心がワシヅカミにされる。

最後の曲が終り,原さんは立ち上がって,ステージのぎりぎりまで来て,「どうもアリガトウ」と,深く深く何度もおじぎをした。もちろん拍手は鳴りやまず,アンコール。

と,その前に,原さんのお誕生日の2日前というコトで,サプライズ!バースデーソングの合唱と,小さなローソクがちゃんと立った,小さなバースデーケーキが。「ワタシごときに,こんな洋菓子まで。。。」と,原さんは照れたように,でも嬉しそうにローソクの灯を吹き消した。

アンコールは2回。「ちょっと人の曲をやります」と,これも大好きな『哀しみのソレアード』。曲は有名な曲だが,詞は多分,原さんのオリジナル。胸がじんわりと熱くなる。

嬉しいコトがもう1つ。10年ぐらい前に発行された,原さんと各界の有名人との対談集『夢の4倍』。名前は聞いたコトがあるが,もう手に入らないと思っていた薄い冊子。今回,思いがけなく何冊か在庫が発見された,とのことで,買うコトができた。そして,原さんが特別にイラスト入りのサインを。

結構,緊張して,どの頁にサインをしてもらおうかとオロオロしたら,「やっぱりココかな」と,原さんが一番前の頁を開いて,サインペンでサラサラとイラストを。ビックリした。頭から梨が飛び出している人の絵。「脳ナシくん」と,原さんは言っていた。これって,すごくレアかも。嬉しかった。

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興奮しながら,バスに乗って,烏丸へもどったら10時前。明日は仕事なので,ここでYちゃんと別れる。

帰宅。小腹が空いたので,もう1度食べてしまった。やっぱりはるばる出かけて行って,とてもヨカッタ一日。ちょっと興奮していて,なかなか眠れない。




あひるごはん ツナとキャベツの千切りのマヨネーズ和えトースト,コーヒーミルク。
夕食 チキン豆カレー,梅酒ソーダ。
夜食 サバのきずし,白菜とあげの炊いたもの,ほうれん草のカラシ和え。
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by rompop | 2006-03-04 00:41 | 映画・舞台・音楽