カテゴリ:映画・舞台・音楽( 7 )

ブレイクタイム☆。。。『ベルばら』。

先週末,BS放送で,ものすごく懐かしい放映をやってた。
昭和50年宝塚花組の『ベルサイユのばら~オスカルとアンドレ編』!!


懐かしすぎる。。。だってこれ,リアルタイムで観た舞台だもの。
たしかワタシは,身長だけは160センチもあったけど,まだ小6だったと思う。
小学生の癖にこれで宝塚にはまってしまい,何度も観に行ったなぁ。
始発電車で出かけて,大劇場の楽屋口で「入り待ち」,
終演後は,もちろん,「出待ち」。

といっても,親衛隊がスクラム組んでいて,スターさんには近づけなかったので
「花の道」から,ただぼんやり眺めていただけなんだけどね。


ワタシが好きだったのは,安奈淳さんと汀夏子さん。
『宝塚グラフ』に『宝塚おとめ』は,毎号買っていたし,ブロマイドもたくさん。
部屋には,特大のポスターを貼って。
唄がばつぐんに巧かった安奈淳さんのLP『安奈淳の世界』は,
すりきれるほど,リピして聞いた。。。

・・・でも,あれ?あの頃って,お小遣いいくらだったんだろう?
それに,友達と一緒とはいえ,始発電車でよく何度も行かせてもらえたよなぁ。


で,懐かしさでブルブル震えながら,録画を観ました。
もちろん,画像は悪いし,大幅にカットされていたけど,
いやぁ・・・・いっきに最後まで観てしまいました。眠くて疲れているのに・・・

宝塚を知らない人が見たら,「_・)ぷっ」と思わず笑ってしまうところが
きっとたくさんあると思う。
いかにも「宝塚的お約束」の台詞回しや,動きが満載。
ワタシですら,久々に観たものだから,ちょっと笑ってしまうところがいくつか。

でも・・・やっぱり宝塚は凄いな。というか,「ベルばら」は偉大だ。
いくつかの場面で,やっぱり昔と同じく涙が出たもん。

30年ぶりに観たのに,劇中歌は全部,ちゃんと歌えたし,
いくつかの場面は,音楽まではっきり覚えてた。
バスティーユの戦闘の場面なんて,おぼろげだけど,
振り付けまで覚えてたものなぁ。

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ワタシの好きだった安奈淳さんがオスカル。
アンドレは,当時はどちらかというと,苦手だった,榛名由梨さん。

友達は榛名由梨さんのファンだったけど,ワタシはいつもけなしていた。
地味なカンジだったし,ちょっと太めだったし,全然カッコイイと思わなかった。

ところが,何というコトか,今になって,榛名由梨さんの凄さと魅力に気づいた。
榛名アンドレのなんという魅力。。。
芝居も巧い,唄もいい,なにより・・・・カッコイイ。
線の細いオスカルを包みこむ,包容力。男っぽさ。
オスカルを想って,男泣きに泣く,苦悩の表情の色っぽさ。

小6のガキには,わからなかったんだな・・・この魅力が。
44歳の今ならわかる。
うう・・・女が演じてる男なのに,本物のフェロモンがある・・・
ラブシーンでやけにドキドキする。
それでこのラブシーン,とりあえず,ものすごく美しい。
なんでも,美しく見せるために,ものすごくしんどい体勢をキープしたそうなんだけど。

演出は長谷川一夫氏。
「目に星を出せ」だの,とんでもない演出をしたらしいのだけど,
オスカルを思いながら,天に向かって唄う榛名アンドレの目,
庭園のベンチでオスカルに膝枕をしながら,
「星が綺麗だ・・・」と夜空を仰ぎ見る榛名アンドレの目,
確かに,キラキラキラキラ,濡れたように光っておりました。
劇画チックに見えた・・・ビックリよ。
多分,目線の角度と照明の具合を計算したんでしょうけど。


はっきり言って,今現在の宝塚のスターさんたちは,
ワタシよりもずんと若くて,綺麗なんだけど,あんまりドキドキしないかな。
3年ぐらい前,久々に大劇場で観てみたけど
「綺麗なお姉ちゃんたちだな~ええ目の保養になったワ」な
オヤジ的な感慨しかなかったものなぁ。。。

でも,当時の榛名由梨さんだって,20代とは言わないまでも
いってても30代半ばまででしょう。
どうして今観て,こんなにドキドキしちゃうのかな。
ひとえに芸の素晴らしさ。もちろん,天賦の才もあるでしょうが。
今気づいたって,遅いんだよね。

惜しいコトしたなぁ・・・
全然興味がなかったから,彼女の組(月組)の公演,ほとんど観ていないんだもの。
花組と雪組ばっか観てた。
ホントにこればっかりは,後悔してもどうにもならない悔しさですよ。まったく。


宝塚の古い古い作品がたまにオンエアされるらしい,というだけで
「スカパー!」に入ろうかと考え始めているワタシ。。。
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by rompop | 2007-08-07 14:48 | 映画・舞台・音楽

2007・5・22 ② 『タテタカコ』さん。

日曜日の『情熱大陸』は,ミュージシャンのタテタカコさんだった。
彼女のCDは1枚,持っている。
でも,素顔を見たのは,初めてだった。

ライブでの映像や,楽屋裏での様子が,つぶさに映し出されていた。

その「ぼくとつ」とした佇まいが,いいな,と思った。

でも,「生きにくいだろうなぁ・・・」とも思った。
今の世の中では,こういう人は,とても生きにくい,に違いない。

インタビュアーの質問に,時間をかけて答えを探しながら,ゆっくりと答える。
インタビューの途中,ふいに大粒の涙をこぼす。
いまでも,「絶望感」が,ふいに襲ってくるという。

メジャーな歌い手,というわけではないが
それでもライブには,たくさんの人がぞくぞくと足を運ぶ。
自分の曲が映画の挿入歌に使われたり,
(映画『誰もしらない』の挿入歌『宝石』がそれ)
こうして,メディアの取材を受けたり。
なにより,こんなに素晴らしい才能に恵まれているのに・・・


この人は,「唄いたいから」唄っているのではないのだろうな。
きっと,唄わなければ・・・生きていられないのだ。
そういうタイプの芸術家だと思う。

この人の真っ向(まっこう)さが,聞く人の
こころの奥の一番軟らかい部分に,まっすぐにつき刺さる。


「髪が気になって音楽に集中できないから」との理由で
髪を今まで以上に,とことん短くカットしている。
ベリーショートだ。
真っ黒の髪。少年のような頭に,ところどころ,
キラキラ光る銀色の白髪が見え隠れしていた。



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『タテタカコ』さん。

死んだKが,とても敬愛していたアーティスト・・・・・
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by rompop | 2007-05-23 01:22 | 映画・舞台・音楽

2006・12・4 久しぶり!

朝食は,昨夜いただいたデニッシュなど,ホットミルク。

午後から半休を取って,ミナミへ。今日は,どうしても観に行かなくちゃいけない芝居がある。昨日から始まった「お客さま」で下腹は痛いし,体調は最悪に近かったが,なんとしても行かねば。

その前に,昼食を。かねてから行ってみよう,と思っていた,道頓堀にあるうどん屋。『道頓堀今井』。最近買った「大阪食堂」という本に載っていた店だ。

道頓堀の中座・角座の並び,とてもわかりやすい場所にあったのですぐにわかる。平日の昼間のせいか,会社員の姿は見えず。買い物帰りの老夫婦などが多い。

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少し迷ったが,きつねうどんを注文。とても期待していたが,やってきたのは,とても地味な風情のきつねうどんだった。大きな四角い揚げが2枚,薄い色のおつゆ,刻んだネギが一盛り。

でも,やっぱり出汁が美味しい。薄味だが,ぼんやりしていない。揚げも,柔らかく,甘く炊いてあって良く味が染みている。うどんは,コシがあってツルッとしている。ううん。何というか,とても「丁寧な」「優しい」味だ。735円という値段は,そう安いとは思えないが,おつゆは美味しいので,ほとんど飲んでしまった。鍋焼きうどんを食べている人が多かったので,きっとアレも美味しいに違いない。

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丁寧な仕事の大阪のうどんが食べたければ,お勧めのお店だ。


さて。時間がないので,日本橋のほうへテクテク歩く。国立文楽劇場を通りすぎて,さらに歩く。会場は,シアトリカル應典院。どうやらお寺に隣接した劇場らしく,墓が見える。

小劇場時代におつきあいのあった,『劇団メイ』の芝居。座長のキムさんと会うのは,7~8年ぶりじゃないだろうか。こっそり観に行って驚かせてやろう,と思ったが,ホントに目を丸くして驚いていた。ワタシの記憶の中の彼は,まだ20代の,ひょろっと背の高い青年だったが,しばらく会わない間に,すっかり貫禄がついて座長さんらしくなっていた。いやぁ,会えて嬉しかったなぁ。あまりに嬉しくて,思わずハグしてしまったぐらいだ。

客演で,もう1人懐かしい人に会えた。彼とも,もう7~8年は会っていない。彼ももう,20代半ばの青年ではなくなっていた。ワタシもきっと,同じくらい歳を取ったのだろう。


芝居は2時間ちょっと。骨太な芝居だった。在日問題については,難しいコトはワタシにはわからない。恥ずかしいが,勉強不足はいなめない。今までそれについて,勉強しなくても,自分が生きるにあたって,なんの不便もなかったからだ。

日本で,日本人として生まれて生活しているワタシには,自分のルーツを呪ったり,あるいは焦がれたりする思いは,まったく無い。自分の「血」について,思いを巡らせたコトもない。そんなコトを考えなくても,良かったのだ。もしかしたら,「自分とは何だろう?」とすら,考えなかったかもしれない。お気楽で幸せな,ただの「日本人」だ。

そんなワタシには,彼の書く「自分の血」や「ルーツ」や「同族たち」の物語は,ところどころ,難解でもある。主人公の青年は,在日朝鮮人だ。親から言われ,朝鮮人学校に通ったが,異和感を感じて数ヶ月で辞めてしまった。朝鮮人だが,朝鮮語は喋れない。日本名で通している。朝鮮の名前で自分を呼ぶのは,親族ぐらいのものだ。ある日出会った少女が,親しみをこめて彼を母国の名前で呼ぶ。「呼ぶな」と彼は叫ぶ。その本当の思いが,ワタシにはわからない。多分,本当の意味では,永遠にわからないのだと思う。

でも,その難解さを越えて,なお,いくつもの台詞がたまらなく胸を打つ。役者が舞台で喋っているその言葉は,間違いなくキムさん自身の身体から出たものだとわかるからだ。どれも嘘がないからだ。暴力があり,憎悪がある。でも,ラストシーンの演出である朝鮮舞踊はとても美しく気高く思えた。嫌悪やら愛やら,いろんなものが混在してせめぎ合っている。舞台の上で。彼自身の中で。不覚にもワタシは,泣いてしまった。

公演のチラシーの挨拶文に,作・演出でもある彼は書いていた。

ある日,死んだあと。神さまから,「オマエは来世もまた人間だ。何人(なにじん)がいい?」と聞かれたら,迷わず「在日の朝鮮人でいい」と答えると。


いろいろ考えながら,難波まで歩く。少しだけお腹が空いたので,一度入ってみたい,と思っていた『重亭』へ。ハンバーグステーキを注文。

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初めて食べた『重亭』のハンバーグステーキは,想像していた味と少し違った。もっと,わかりやすい味を想像していたが,とても肉の味のしっかりしたハンバーグ。デミグラスソースは少し甘みがあって美味しいが,当然ながら,ハンバーグの内部にまで染みこんではいない。これが正しいのかな?外側はソースの味,中は,ほとんど肉本来の味。「真面目なハンバーグ」というカンジだ。

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料理を運んでくれるのは,なぜかオバちゃんばかりで,不思議な感じがした。今度は,別の料理を食べてみるコトにしよう。


梅田で少しスカートを物色して,帰宅。「晩ごはんはハンバーグよ」と言われて,脱力。わけを話して,勘弁してもらった。母よ,ゴメン。

夕食は,生卵かけご飯,大根と揚げの煮物。

夕食後,まったりと部屋でくつろいでいると,嫌なコトを思い出した。今日から,夕刊紙『日刊ゲンダイ』で,誠サマの連載が始まるのだった。買ってくるのをすっかり忘れてしまった!

とりあえずパジャマを脱いで,ジーンズに着替え,マフラーをぐるぐる巻きにして自転車を飛ばし,駅前のコンビニへ。ここになかったら,どうしよう。もう,駅の売店はとっくに閉まっている。

祈りながら店内に飛び込むと,レジ横に・・・あった!嬉しくて,つい2部も買ってしまった。


☆新歌舞伎座に1月公演の垂れ幕が・・・

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by rompop | 2006-12-04 22:15 | 映画・舞台・音楽

2006・6・10 ② 『マイケル・ナイマン・バンド』コンサート2006。

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JR大阪駅から環状線で京橋まで。長堀鶴見緑地線で大阪ビジネスパーク駅下車。会場は,「シアターBRAVA!」。初めてやってきたが,なんだか,仮設っぽい劇場。。。でも,中はとても立派で綺麗。

マイケル・ナイマンは,20代の終わりぐらいに,初めて知った。ピーター・グリーナウェイ監督の初期の作品をいくつか観た時,音楽があまりにも印象的で,マイケル・ナイマンのCDを1枚買った。20代から30代にかけてのある時期,それこそ,毎日毎日,飽きるコトなく聴いた1枚だ。

ピーター・グリーナウェイの作品で今でも強烈に好きなのは『ZOO』。特に初期の作品が好きだ。『数に溺れて』『建築家の腹』など。その後,『コックと泥棒,その妻と愛人』の強烈さとグロさにギブアップし,それ以降の作品は観ていないのだけど。

もちろん,マイケル・ナイマンと彼のバンドの生の演奏を聴くのは初めてで,チケットを手に入れた時から,ワタシはずっと,軽く興奮していた。

黒いシャツに黒いジャケット,パンツの,バンドのメンバーが先にステージに登場。女性が2人。バンドは全部で11人だ。最後にマイケル・ナイマンが登場。やはり,黒いジャケットにパンツ。バンドの平均年齢は,かなり高そうだが,それにしても,みな,なんてスタイリッシュ!

グランド・ピアノ(スタインウェイ?)の前に,マイケル・ナイマンが座る。右手をあげて,軽くリズムをとって合図をし,1曲目の演奏が始まった。


プログラムの第一部は,ピーター・グリーナウェイ映画の音楽ばかり。1曲目は,『英国式庭園殺人事件』から「羊飼いにまかせとけ」。ワタシのとても好きな曲。ダークな曲調が多い中で,珍しくスカッとするような明るさがある。その後,2曲ほど演奏したあと,ワタシが1番好きな『ZOO』から数曲。いっきにボルテージがあがる。やっぱり生は凄い。ダークで重厚な音とリズム。そして,『コックと泥棒・・・』より「メモリアル」。かなり印象的な曲。


マイケル・ナイマンの音楽は,「ミニマル・ミュージック」と呼ばれる。音の動きを最小限におさえ,パターン化された音型を反復させる音楽形態。同じようなリズムとメロディラインが,少しずつ音階を変え,何度も繰り返される。マイケル・ナイマンのピアノも,「奏でる」「弾く」というよりは,むしろ「打ち続ける」「叩き続ける」といった具合。62歳とは思えない,体力とエネルギー。

20分間の休憩。この短い休憩の間にも,連打され続けたピアノの調律を,スタッフが行う。ワタシはロビーへ出て,パンフレットを買った。


第2部は,その他の映画音楽より。マイケル・ナイマンの名を一躍メジャーにした『ピアノ・レッスン』の数曲を,マイケル・ナイマン1人のピアノ演奏で。さきほどまでの,ダークな曲調とは打ってかわって,静謐な美しさ。映画もヨカッタが,映画をさらに印象的にしていたのは,やはり,この曲々だ。

続いて,映画『リバティーン』より,数曲。ジョニー・デップ主演のこの映画を,ワタシは見逃してしまった。だから内容はよくわからないが,曲はなんというか,とても美しかった。パンフレットによると「ノスタルジックでバロック風のミニマル・ミュージック」とのコト。

圧巻だったのは,映画『メイキング・スプラッシュ』からの「ウォーター・ダンス」という1曲。とてつもなく尺の長い曲だが,高いテンションのまま,どこまでやるの?というぐらいの,圧倒的な演奏を見せた。マイケル・ナイマンだけでなく,バンドのメンバー全員が,渾身の力をこめての力強い演奏。圧倒され続けた。

最後に,ゲストの中川晃教が登場して,舞台『エレンディラ』のためにマイケル・ナイマンが作った1曲を披露した。会場には,彼を観にきたファンも多かったよう。


音楽というモノは,「匂い」や「風景」と同じく,いや,もしかしたらそれらよりもずっと強く,「記憶」を蘇らせる。音楽を聴けば,その音楽を聴いていた時代や場所,その頃の感情の記憶までが,思いがけず生々しく立ちのぼってくるコトがある。

マイケル・ナイマンの少し古い音楽を聴きながら,ワタシはまた,思い出してしまった。あの頃,1枚のCDを何度も繰り返し,共有したのが,Kだった。理屈っぽいKが,ライナーノーツを片手に,いちいち蘊蓄(うんちく)を垂れていた姿を思い出した。その1つ1つのコメントまでも。

ワタシは今,あのマイケル・ナイマンを生で聴いているけれど,Kはもう,この世のどこにもいないのだなぁ,と,その事実をくっきりと思い出すと,涙が出て困った。が,隣にいる友人に悟られたくなかったので,鼻をすすりあげたいのを,我慢した。マイケル・ナイマンを聴いて感涙している,と思われるのは恥ずかしかった。


音楽でも美術でもそうだが,あまりにも力のあるモノを見てしまうと,それはもう,ただの「音楽」とか「美術」ではなく,それを創り出した人間をまるごと感じるコトになる。巧くいえないが,その人間の,パッションとか,エネルギーとか,想いとか,そういうモノだ。

ワタシが,最終的に今夜の演奏で感じたのは,旋律の妙でもリズムの力強い正確さと美しさでもなく,マイケル・ナイマンのソウル(魂)。それに尽きる。優れた芸術とは,そういうモノなのだろう。「メロディがいいね」とか「この色がなんともキレイだね」とか,そんな言葉では済まないモノが,きっと,「芸術」なのだ。

何度かのカーテンコール。しかし,アンコールはなく,あっさりと終わった。

ロビーに出ると,突然,マイケル・ナイマンが物販売り場に現れて,パンフレットやCDにサインをしだした。どうやら,打ち合せなしに,突然,彼自身のサービスで始めてくれた模様。制服を着た劇場のスタッフも,少し慌てている。列に並んで,ワタシも先ほど購入したパンフレットに,サインをしてもらう。嬉しかった。「Thank you」と,力強い笑顔で手をさし出してくれたので,その手を握りながら,やっとのことで「Thank you」とだけ言う。声が少しかすれてしまった。ちゃんと英語が喋れたら,もっと色々言いたかったのに。。。

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とにかく,マイケル・ナイマンは,とてもイカしていた。今年は彼が作曲活動を始めて30周年だという。新しいアルバムもリリースされるに違いない。今度,来日しても,ワタシは,きっと聴きに行くだろうと思う。
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by rompop | 2006-06-12 22:51 | 映画・舞台・音楽

2006・3・9 3軒茶屋婦人会・『女中たち』。

夜は,Sちゃんと梅田茶屋町ドラマシティにて,「3軒茶屋婦人会」の『女中たち』。がんばってタクシーを飛ばしたら,待ち合わせの時間よりずいぶん早く到着。しかたがないので,1階のスタバで時間をつぶす。

コーヒーが飲めないワタシは,キャラメルソースのかかったホットミルクと,ハム&チーズのホットサンド。ホットサンドは,なかなか美味しかった。

19時開演。席はネットの先行予約でとったので,2列目。少しだけ上手寄りだが,よく見える。

「3軒茶屋婦人会」は,もと「東京壱組」にいた大谷良介と,「花組芝居」にいた篠井英介,深沢敦の3人ユニット。20代の頃に,よく劇団の舞台で観た人たちだ。ワタシは,昔から,現代劇での女形が綺麗な,篠井英介さんが好きだった。
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このユニットが,旗揚げ公演に選んだ演目は,ジャック・ハイフナーの『ヴァニティーズ』。そして2本目が,ジャン・ジュネの『女中たち』だという。偶然にも,どちらもワタシが愛してやまない戯曲。今時,こんな戯曲を選んで演じようという人は,そうそういない。


『女中たち』は,あるお屋敷に女中として住みこみで働く,若くて貧しい姉妹の話。姉のソランジュと妹のクレールは,女主人の留守中に,部屋に入りこみ,ドレスや宝石,化粧品をこっそり拝借して「奥さま」になりすます,という「ごっこ遊び」を,夜な夜な繰り返していた。1人が「奥さま」に。1人が「女中」に。そして,罵られ侮蔑された「女中」は,反乱を起こし,ついに「奥さま」の首に手をかける。。。しかし,いつもその一歩手前で,「ごっこ遊び」は時間切れとなる。

空想上の「奥さま」の首に手をかけられないのは,2人が,女主人を畏怖しているせいでもある。美しくて金持ちの優しい「奥さま」。貧しく若い2人は,女主人に,憧れていた。同時に,うらやみ,恐れ,ひどく憎んでもいた。

今朝,事件が起きた。女主人の愛する「旦那さま」が警察に逮捕されたのだ。2人が警察に投函した「密告の手紙」のせいで。愛する人が連行されるときの,「奥さま」の取り乱した様子を見て,2人は満足し,興奮した。

しかし,牢獄の「旦那さま」から,保釈された,との電話がかかってくる。これで「密告の手紙」がばれれば,すべてはお終いだ。2人は,空想ではなく,現実の「奥さま」を殺そうと計画する。

しかし,薬入りのお茶を,「奥さま」に飲ませる計画は失敗し,「奥さま」は保釈された「旦那さま」のもとへ,喜びに輝いて出かけて行った。残された2人は絶望する。姉は「逃げよう」と妹を説得するが,妹は応じない。どこにも行く処など,ないのはわかっていた。「今度こそ最後まで行きましょう」と,妹は「奥さま」のドレスを羽織り,あの「ごっこ遊び」を始める。そして,「女中」の姉に命じ,テーブルの上の,薬の入った冷めたお茶を受け取り,いっきに飲み干す。



とても複雑な構造の難解な戯曲だと思う。「ごっこ遊び」に興じている時と,ただの女中に戻った時の落差。薄汚い台所と屋根裏部屋に封じこめられた,むんむんするような若さと焦燥感を持て余しているような,2人の饒舌なお喋り。言い争い。姉も妹も,自分の人生を憎み,自分を映す鏡のような相手の存在を憎まずにはいられない。しかし,同時に,深く愛しあってもいる。「奥さま」と呼ばれる女主人に対する2人の複雑な感情。同性であるからこそ,羨ましく,憧れ,そしてひどく憎んでもいる。「美しく優しい」奥さまを,おとしめ,苦しめたいという衝動から,2人は逃れるコトができない。

まるでシェイクスピア作品のように,長々と続く膨大な台詞。実際に音声で読んでみるとわかるが,とても難しい。

姉のソランジュを,大谷良介。見かけも声も男そのものだが,少し不細工でごつごつした女にちゃんと見えた。こういう女は確かにいるな,と思う。その「美しくなさ」がソランジュを際だたせていた,といったら,本人に失礼だろうか?失礼だろうな。。。ラスト近くの,ソランジュの長台詞はとてもよかった。

妹のクレールは,篠井英介。黒のビスチェで登場するシーン,肩や腕,背中から腰のあたりの曲線に見惚れた。とても華奢で,女性のようだった。努力しているのだろうな。年齢はワタシよりも上のはずだが,顔も身体もとても美しかった。あまり歳をとった感じがしないのは,舞台だからだろうか。綺麗で少し生意気な妹役は,ぴったりだった。

「奥さま」役は,深沢敦。小柄でころころ太った,童顔の可愛いキャラは,全然かわらない。ドレスがとてもゴージャスだったが,何度もくりかえされる「美しい」という賛美の言葉が,妙に浮く。もしかしたら,「奥さま」は,本当は美しくもなんともない女なのかもしれない,という想いがよぎる。となると,さして美しくもない主人に,へつらい,崇め続けなければならない若い少女たちの,屈折やいかに。

でも,待てよ。「奥さま」が美しくなかったら,彼女たちは「奥さま」をこんなにも憎むだろうか?女というのは残酷なモノで,どんなに富や名声を持っていても,美貌がなければ,同性からそう妬まれはしない。すべてがあり,その上で美しいから,どうしようもなく「負け」なのだ。やはり,「奥さま」は,本当に威圧的なほど美しくなければ,この話は成立しないのかもしれない。

舞台セットは,豪奢な「奥さま」の部屋。ベッドや鏡台,白や淡い黄色のたくさんの花が花器にいけられ,無数に飾られている。場面によって花器の配置が変えられ,ラストシーンでは,毒入りのお茶を飲み干すクレールを囲み,まるで葬式の花のようになる。

部屋を取り囲むのは,大きな金色の支柱や,壁。窓の外にはバルコニー。それらは天井から吊り下げられており,場面によっては,グラグラと揺れ動く。固定されていると思いこんでいた舞台装置が,2人を囲んでグラグラと揺れた時の驚き。現実世界の足元がぐらつくような,2人の不安や心の闇の部分をビジュアルで表現していて,斬新だと思った。

ラスト近く,追いつめられたクレールが,最後に「奥さま」を演じようとし,それが,妹を「解放」してやるコトになるのだ,と,ソランジュは悟る。お茶を飲み干す前に,「ワタシを忘れないでね」と,篠井さんのクレールが,大谷さんのソランジュの唇に,強くキスをする場面は,とても印象的だった。

ワタシは「この台詞をどういう風に言うのだろう」と思いながら,ワクワクと観ていたので,どの場面もとても面白かったのだが,案の定,しょっぱなから「置いてけぼり」を喰らったらしい客も。しかし,3列目で,周囲に響き渡るような激しいイビキをかいて,寝るかなぁ。舞台に聞こえるんじゃないかと,冷や冷やした。まぁ,そういったモノも含めて,役者さんには勉強なのかもしれないけれど。

Sちゃんがあとで漏らしていたように,これはフランス文学の翻訳モノなので,特有の「階級意識」みたいなものが,濃厚だった。日本人には,今ひとつピンとこないが,それがわかれば,もっと戯曲の世界を理解できるかもしれない。


帰りは,Sちゃんと「かっぱ横町」の居酒屋で夕食。小一時間だったが,いろいろお喋りして楽しかった。『パンドラの鐘』のビデオテープも,何年ぶりかで戻ってきたし。





朝食 イカナゴのくぎ煮でお茶漬け,ミカン。
昼食 カップラーメン(ミソ味),紀州梅のおにぎり1個,ゴボウサラダ,ワカメの味噌汁。
間食 スタバで,ハム&チーズホットサンド,ホットミルク。
夕食 居酒屋にて。
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by rompop | 2006-03-11 22:21 | 映画・舞台・音楽

2006・2・26 原マスミ 冬の京都~独り弾き語り。

12時過ぎまで眠ってしまった。外は雨。

4時に烏丸でYちゃんと待ち合わせしているので,時刻表などを調べ,食事をする。雨はますます降っていて,くじけそうになるが,テンションを上げて家を出る。

烏丸から市バスに乗り,堀川丸太町で下車。ぼつぼつ歩いて,ライブハウス『拾得』についた。5時半開場なのに,4時半についてしまった。恐る恐るドアを開けて,店の人に「ライブの整理券とかないんですか?」と聞くと「ないですね」と言われる。「じゃあ,開場まで外で待っていたらいいんですね?」と言うと,「そうですね。。。でも,待たれないほうがいいと思いますよ」
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「待たないほうがイイなんて言われたの初めて」と,Yちゃんと外へ出て大笑いする。店にしてみれば,予約の電話やメールで,あらかじめ大体の人数は予想できるから,並ばなくても十分座れると思ったのだろう。考えてみれば,原さんに失礼だなぁ。でも,ワタシは,原さんのライブはいつも,一番前で見たい。Yちゃんには悪いが,つきあってもらって,店の前で約1時間,お喋りをしながら時間を潰した。


5時半,開場。受付で前売り料金3,000円を支払い,1番に店内に乗りこむ。初めて足を踏み入れた『拾得』は,古い酒蔵を改造した,とても雰囲気のある店だ。店内のテーブルは全部,どっしりした木でできていて,椅子は酒樽のようなモノに,座布団が敷かれている。隅には,畳敷きのスペースも。
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ワタシたちは,ステージの一番前,大きな丸い木のテーブルに陣取る。よくライブで顔を会わせる人たちも,同じテーブルに座り,開演までお喋りをしたり,ちょっと早めの夕食を取ったり。

お店のHPを見て,最初から「美味しそうだよね」と言っていた『チキン豆カレー』と梅酒のソーダ割りを注文。玄米ご飯に,豆がいっぱい入った,ほどよい辛さのチキンカレー。とてもヘルシーで美味しかった。玄米とカレーって,合うんだなぁ。
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オープニング・アクトが数曲あり,いよいよ原さんの登場。白い長袖のTシャツ(黒いキスマークのイラストがたくさんついていた)に,ジッパーのたくさんついた黒のパンツ,フードのついた黒いコットンのジャケット(胸には缶バッチがたくさん)。靴はエナメルっぽい素材の,黒いあげ底のスニーカー。髪はいつものように,ディップでちょっとラフなカンジにはねている。すごく可愛い。というか,絶対,50歳には見えない!

もう,目の前の至近距離で歌う原さんから,目が離せなかった。やっぱり一番前は最高。ギターのコトはよくわからないが,ものすごく上手いらしい。指が魔法のように早く動いていた。

大きくて優しい,お店の雰囲気と,原さんの声音が見事に融合して,ホントに素敵な空間だった。この人の声や歌は,どうしてこんなにも,ワタシの心の琴線に触れるのかな。何度聴いても,同じ歌でも,全然,飽きない。ずっと,永遠に聴いていたい。

ライブのたびに,選曲は若干違うが,ワタシの好きな歌が何曲もちゃんと聴けたので,満足。『海のふた』の熱唱は圧倒的で,いつ聴いても,心がワシヅカミにされる。

最後の曲が終り,原さんは立ち上がって,ステージのぎりぎりまで来て,「どうもアリガトウ」と,深く深く何度もおじぎをした。もちろん拍手は鳴りやまず,アンコール。

と,その前に,原さんのお誕生日の2日前というコトで,サプライズ!バースデーソングの合唱と,小さなローソクがちゃんと立った,小さなバースデーケーキが。「ワタシごときに,こんな洋菓子まで。。。」と,原さんは照れたように,でも嬉しそうにローソクの灯を吹き消した。

アンコールは2回。「ちょっと人の曲をやります」と,これも大好きな『哀しみのソレアード』。曲は有名な曲だが,詞は多分,原さんのオリジナル。胸がじんわりと熱くなる。

嬉しいコトがもう1つ。10年ぐらい前に発行された,原さんと各界の有名人との対談集『夢の4倍』。名前は聞いたコトがあるが,もう手に入らないと思っていた薄い冊子。今回,思いがけなく何冊か在庫が発見された,とのことで,買うコトができた。そして,原さんが特別にイラスト入りのサインを。

結構,緊張して,どの頁にサインをしてもらおうかとオロオロしたら,「やっぱりココかな」と,原さんが一番前の頁を開いて,サインペンでサラサラとイラストを。ビックリした。頭から梨が飛び出している人の絵。「脳ナシくん」と,原さんは言っていた。これって,すごくレアかも。嬉しかった。

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興奮しながら,バスに乗って,烏丸へもどったら10時前。明日は仕事なので,ここでYちゃんと別れる。

帰宅。小腹が空いたので,もう1度食べてしまった。やっぱりはるばる出かけて行って,とてもヨカッタ一日。ちょっと興奮していて,なかなか眠れない。




あひるごはん ツナとキャベツの千切りのマヨネーズ和えトースト,コーヒーミルク。
夕食 チキン豆カレー,梅酒ソーダ。
夜食 サバのきずし,白菜とあげの炊いたもの,ほうれん草のカラシ和え。
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by rompop | 2006-03-04 00:41 | 映画・舞台・音楽

2006・2・15② 『クラウディアからの手紙』。


この舞台は実話に基づいている。数年前にTVのドキュメンタリーで偶然にこの話を知った時は,とても衝撃を受けた。
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☆ストーリー☆
太平洋戦争終戦の頃,身に覚えのないスパイ容疑でロシアに抑留された1人の日本人がいた。蜂谷弥三郎。日本に新婚の妻と産まれたばかりの娘を残したまま,母国へ帰るコトを許されず,実に50年もの間,異国での過酷な生活を強いられる。

極寒の地での刑務所生活,釈放されてからもスパイ容疑は晴れず,彼はさまざまな差別を受け続けた。そんな彼を差別と虐待から守り,37年間支え続けたもう1人の妻・クラウディア。彼女もまた,蜂谷と似たような境遇にあり,身寄りがなかった。

身を寄せ合うようにして働き,2人はなんとか生きのびる。そしてずいぶんと長い時間が経ったあと,彼らは蜂谷の日本の家族の消息を知る。蜂谷の日本の妻は,再婚もせず娘を育て上げ,ずっと1人で夫の帰りを待ち続けていた。「どうか帰ってください」,老いた妻と,娘の手紙。蜂谷は苦しむ。長いあいだ,心の奥底に秘めていた母国への望郷の念があふれる。

クラウディアは,そんな蜂谷の心を知っていた。そして,ほかに家族もない病身の自分を捨てて,日本に帰るコトなど,彼は決してできないというコトも。

「他人の不幸のうえに自分の幸福を築くことはできません。今,あなたを帰さなかったら,ワタシはきっと後悔する。」

クラウディアは,80歳の夫を日本の家族のもとへ帰す決心をする。




素舞台に近い簡素なステージで,主人公蜂谷氏とその家族の過酷な人生が時系列で演じられる。青年時代の蜂谷,妻・久子との出会いと娘の誕生。つつましく幸福な生活が,一瞬にして打ち砕かれる。突然ふりかかった,スパイ容疑。好意で1度夕食に招いただけの男が,自分の罪を軽くするために,蜂谷にスパイの濡れ衣をきせたのだ。「すぐに戻るから」と妻に言い残して,連行される蜂谷。想像もできない長い拘留生活。拷問と飢えと厳しい寒さ。蜂谷は何度も,生死の境をさまよう。

メインの3人以外の役者は,1人で何役も演じ,時には音を出し,舞台背景になったりもする。

主演の蜂谷氏を演じた佐々木蔵之介は,素晴らしく良かった。彼の舞台は,小劇場にいた頃,『惑星ピスタチオ』以来はじめて観たけれど,凄い役者になったと思う。目ヂカラの強さが際だっている。なんという眼をするのだろう?とオペラグラスを覗きながら,何度も思った。これからももっと凄くなっていくかもしれない。

上演時間は15分の休憩を含めて,3時間10分。実話の持つあまりの重み。素舞台に近い場で,役者たちが身体1つでこの物語を演じ続ける。これまた過酷な作業で,身体も精神も消耗が激しいだろう。観ていても涙があふれたし,本当の話だと思うと胸がつまって苦しい場面も。

でも,極限の状態の中で,相手を思いやり続ける人間の物語は,余分な感傷や甘さがない分,崇高で美しかった。

幕間の休憩に,おもわずパンフレットを購入。1200円。原作の本も売っていたが,買わなかった。やっぱり,Amazonで注文しようかな。
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by rompop | 2006-02-17 14:22 | 映画・舞台・音楽