2007・8・23 明日から,再開。

今夜の父。熱はさがっているようだ。でも,栄養がずっと足りないせいか,顔色が白っぽくて,元気がない。まぁ,元気を出せ,っていうほうが無理なんだけど・・・


栄養が足りないせいか,ずっと伏せているせいか,頭もぼんやりしていて,なんだか会話が時々,「とんち話」みたいな具合になる。父がトンチンカンな言動をしても,以前ほどショックを受けるコトはなくなったが(こういうのは,慣れちゃいけないのか・・・),なんだか虚しい気分になる。


水虫の具合をチェックする。なんか・・・・酷くなっている。無理矢理,靴下を脱がせて,薬を塗ろうとすると,「もう,触らなくていいよ!」と嫌がる。「アカン!悪化してる!」と,無理矢理薬を塗る。足の指を広げると「痛いなぁ!」と怒る。「パパのためにやってるんやろう!」とこちらもキレかけると,「じゃあ,好きにしたらいいよ!」と,父もキレる。


やれやれ・・・・誰が好きこのんで,人の水虫に薬なんか塗りたいものか。



しばらくお互いに口をきかなかったが,父が,ひらひらと手を振ってワタシを呼ぶので,父の顔の向いているほうへパイプ椅子を運んで,「なに??」と座った。


「あのねぇ,バナナを買ってきといてくれる?」

「バナナ・・・・パパなぁ,そんな固形物は食べられへんよ。今までずっと,ドロドロのミキサー食やったやろう?それでも詰まって,肺炎になっちゃったんやで・・・・」

父はしばらく,じっと考えている風だったが,「・・・・あぁ,そうだったねぇ」と言う。「仕方ないなぁ?」と言うと,「・・・・仕方ないね」と言う。けど,何かをずっと考えている風。

しばらくしてから,「そうそう,じゃ,キビナゴを買ってきて」と言う。キビナゴ?キビナゴって,なんか魚だったっけ?「イカナゴのこと?くぎ煮?」「あ,そうそう」

「・・・・だから,それも無理やわ。そんなん食べられへん」「・・・・じゃ,しょうがないね」


腹が減っているから,食べ物のコトしか考えられないのだろう。「明日のお昼から,栄養入れてくれるって。看護師さんが言ってたよ」というと,「あ,そう」と,ちょっとだけ嬉しそうにする。

「お腹が空いてるから,食べ物のことばかり考えるよなぁ。栄養が入ったら,少しはお腹ふくれるから,辛くなくなるよ」「そうだね」


7時半頃,主治医がやってくる。父の発熱は,やはり「誤嚥」によるものだったという。唾液などの誤嚥なのか,栄養剤の逆流なのか,それは定かではないが,誤嚥による肺の炎症には間違いないそうだ。

「言い方は悪いですけど,今後,こういう誤嚥は,避けられないです」と,申し訳なさそうに主治医が言う。

「でも,熱が出ても,すぐに下がれば問題ないのです」


要するに,体力,抵抗力,免疫力,なんでもいいが,その力さえ父にあれば,多少の誤嚥があっても,発熱があっても,さほど怖がるコトはないのだ。

そう,そのために・・・・体力をつけるために,胃ろうを作ったのだ,と,また自分を納得させるために,胸のなかで繰り返す。ほかに選択肢がなかったのだ,と。



「明日のお昼から栄養再開ですからね。もう少し我慢してくださいね」と,主治医が言う。父は,笑顔で「はい」と応えている。

でも,主治医が去ったあとも,父は,目を開けたり閉じたりしながら,ずっと空(くう)を見つめている。何を考えているのか・・・・・・ワタシには,本当に父が今,感じている気持ちは,わからないのだろうな。
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by rompop | 2007-08-23 19:37 | ホスピタル


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