2007・8・9 夢かウツツか。。。

いつもの時間に病室へ。

父は,ぼんやりした顔をして,氷枕をして寝ていた。おでこに手をあてると,少し熱い。また,熱か。。。

熱でも栄養は入れるらしい。いつものように投入されてすぐに,「あ,ウンコが出てきた」と父。「え??」と,看護師さんにすぐに言うが,やっぱり無理だった。投入中はベッドを30度に起こしてあるし,投入後も30分はそのままだ。おむつ交換にはベッドをフラットにしなければならないが,そうすると,栄養が逆流してきて,誤嚥を起こす可能性があるから,怖い。


「気持ち悪いけど,このまま少し我慢してくださいね」と看護師さん。しかたがない。。。



今日の父は,どうしたコトか,起きていても,目がくっついて開かないらしく,ずっと目を閉じたまま喋っている。

「パパ,目あかへんの??開けてみ?」と言うと,無理矢理,開けてみせたが,またすぐにとじてしまう。眠いのか・・・?


そのくせ,落ちつきなく,しょっちゅう,喋りかけてくる。それが,ほとんど意味不明のコトばかり。


「今日は疲れたなぁ。姫路まで行ったから」
「別に今日,無理してリハビリしに姫路まで行くコトなかったんだ」
「朝,ここに『いかなごのくぎ煮』が置いてあったけど,誰が持ってきたんだろう?」
などなど。。。


かと思えば,目を閉じたまま,両手でおかしな手つきをするので,手をつかんで「手がどうかしたん??」と聞くと,「いや,手帖を見てるんだけどね」という。

どうやら,手帖を開いて読んだり,なにかをしきりに書き付けているようだ。


なんだか,ふざけているようにも,パントマイムをしてみせているようにも,見える。が,違うんだろうな。どうしちゃったんだろう。。。これってやっぱり,「幻視」とか「せん妄」とかってヤツだろうか。


「書き留めたい」としきりに言うので,引き出しからノートとボールペンを出して,手渡す。父はベッドを少し起こされて寝たままの体勢で,ミミズのような字で何かを書いていたが,「なんて書いたん?」とワタシがしきりに聞くと,「せわしないなぁ・・・」と不機嫌になり,「また,頭がすっきりしてる時に書こう」と,書くのを止めてしまった。


ふと見ると,ベッド脇には,ビニール袋に入れられた洗濯物が。あまり匂いはしないが,濡れている。パジャマが上下2組と,もう1本,パジャマのズボンだけ。肌着と靴下が1組ずつ。

昨夜から今夜にかけて,オシッコかウンコかわからないが,なんどか失敗して汚したのだろう。布団をめくると,パジャマの替えがもう無くなったので,薄いジャージのズボンをはいていた。


しょっちゅう,下痢をしてオムツを交換したり,パジャマを交換したりするので,よく眠れないのかもしれない。あるいは,3食の食事で身体を起こすわけでもないから,生活のリズムがまったく無くなってしまっているのだ。朝とか昼とか夜とか,そんな区別なしに,ただ寝ていて,時々栄養を入れられて,ワタシたちが来なければ,ずっと父はウトウトしているに違いない。一日中そんなだと,ここがどこで,今がいつなのか,夢なのか本当なのか,わからなくなってしまう。

その証拠に,ちゃんと目を覚ましているのに,父にはここが,時々「家」になってしまうようだった。でも,今日は,しっかりと窓のほうを指さして,「あそこの棚に本が置いてあるかなぁ」などと言うのが,ちょっと怖い。

そんなにおかしくなるほどの高熱があるわけでもないのに。父の頭の中は,どうなっているのだろう?


・・・・こんなだと,本当の本当に,呆けてしまうよ・・・・・



とりあえず,今夜失敗したら,もう着替えがないので,汚れ物を今すぐ洗うコトにした。病院の売店は閉まっているので,外のコンビニまで洗剤を買いに行き,洗面所にあるコインランドリーを使った。乾燥機は30分じゃ乾かないから,200円を入れて,1時間にした。あわてて,7時から始めたが,すべて終わるまで1時間半かかってしまう。


父は目を閉じて眠っていたかと思うと,急に目を閉じたまま,「そうそう,そう言えばねぇ」とか「なんだか不思議なんだけどねぇ」などと話しかけてくるので,父の顔のほうにパイプ椅子を置いて,返事をしながら,本を読んでいた。

夢の中か,あるいは「妄想」の中で,父はずっと本を読んでいたらしい。『坂の上の雲』だ。ベッドの柵から外へ右手をしきりに伸ばしては,なにかを取ろうとする。どうやら,そこには本棚があって,文庫本がずらっと並んでいるようなのだ。

ベッドから落っこちては困るので,特大のクッションをベッド柵に突っこんで防御しておいた。「パパ,そんなに乗り出したら,ベッドから落ちるから気をつけてよ」と言っても,他人事みたいに,「さぁ,どうだかねぇ」などと笑っている。


そして今夜も,「バナナと,おでんと,あと・・・大きな梅干し。食べたいなぁぁ」などと,夢見るような顔で言う。もうワタシも,困ってうろたえたりはしないが,「ホントにこれでヨカッタのか?」という気持ちがまた胸をよぎって,辛くなる。


8時半をすぎて,洗濯物はフカフカに乾いた。安心して,棚につめておく。オムツも弟が補充してたっぷりあるから,大丈夫。

でも,父のオムツはまだ交換できない。結構な匂いがしているから,かなりの量,出てしまっているようだ。

夜勤の看護師さんに,「時間がきたらすぐに替えてやってください」と,ダメもとでよくお願いしておく。あまりアテにはならないけれど。

それと,「今日はちょっとおかしいので,夜中にベッドから落ちないように・・・」とも念のため,言っておくが,「あぁ,なんか今日はちょっとソワソワしておられますもんね」とのコト。重篤な人がたくさんいる病院では,父のこんな不穏も,「ちょっとソワソワ」に過ぎないんだなぁ。。。


「帰るよ」と声をかけても,父は「おやすみ」と言いながらも,目は半開き。なんだか,妙に心もとない気持ち。


目が開かないのは,眠いせいだけなのかな。脳のほうの関係もあるのかもしれない。麻痺のあるほうの父の左目は,右目にくらべていつも開けにくいようだから。。。



9時前になってしまったので,タクシーを使って駅まで。お腹がすいた・・・・
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by rompop | 2007-08-09 20:54 | ホスピタル


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