2007・8・7 匂い。

夕方,病院へ着くと,ちょうど6時半過ぎだ。

廊下には夕食の配膳の大きなワゴンが並び,病棟中に,いろんな食事が混ざった,モワッとした匂いが立ちこめている。食欲をそそる匂いではないが,アルコールや薬品,尿や便の匂いに混じって,たしかに食べ物の匂いがする。


病院に通い出した頃は,この匂いにいつも,胸がむかむかした。今は・・・「父にはもう無関係な匂いなんだなぁ」と思うと,悲しくてたまらなくなる。


父はベッドを30度ぐらいに起こされて,また眠っていた。ワタシが着いてすぐに,少量の白湯が,胃へ投入された。

熱はなんとかおさまり,下痢も回数は減ってきているそう。お尻の床ずれ(もどき)には,軟膏が処方されていた。


傷はもう,ほとんど痛まないようだ。父は,うつらうつらしながらも,穏やかな顔をしていた。


主治医がやってきて,「経過は順調です」と言う。熱については,傷口の炎症も多少あり,また,内視鏡を使って手術をしたため,その際に誤嚥した可能性もあります,との説明だった。多少の発熱はしかたないのかもしれない。

明日から,いよいよ栄養剤を少しずつ入れていく,とのコト。医者や看護師が,この栄養剤のコトを「お食事」というのが,どうも抵抗感がある。ワタシの中に,まだ「胃ろう」を前向きに捉えられていない部分が,きっとあるのだろう。


父は無精ヒゲがずいぶん生えていた。傷が痛い時に,ヒゲなんて・・・と放置していたのだが,調子が良さそうだったので,剃ってやった。そして,給湯室においてある熱いおしぼりで,顔や首のあたり,両の手のひらなどを拭いてやった。

ヒゲがすっきりした父は,とても綺麗な顔になった。「ごま塩」のヒゲが生えているだけで,とてもすさんだ「病人」というカンジがするから,ワタシは嫌いだ。


「明日から,栄養剤を入れるって」と父に説明すると,「うん」とだけ言う。もう,何をされても,父はそのまま,受け入れるしかないのだろう。


少しウトウトしているので,文庫本を読んでいた。父の食事介助がなくなってから,ワタシも弟も,気をはって「やるコト」がなくなってしまった。父のそばにいても,何をしてよいのか,わからない。


突然父が目を覚まして大あくびをし,「あぁぁ,サンドイッチが食べたいなぁ・・・」と言ったので,返事に困った。

「・・・パパ・・・それは無理やで・・・だって,肺につまって肺炎になったんやんか・・・」とやっと言うと,「そうだね。でもずっと絶食だもんなぁ・・・」

もう無理だとわかって言っているのか,今は無理だけどそのうち食べられるようになると思って,言っているのか。

さっき主治医が,「口からも食べられるように練習しましょうね。すぐには無理ですけど,栄養剤のほうが落ち着いたら・・・」と言ったから,だろうか。


8時に病室を出る。「もう帰るよ」と声をかけると,「あぁ,電車の時間があるもんね」と父が言うので,つい,うっかり「ワタシも早く帰ってご飯食べなアカンしなぁ」と言ってしまった。

・・・いろいろ,気を使う。


帰宅。

朝,電話で弟と,また軽くやりあってしまったので,顔をあわせたくない。向こうもそうらしく,ワタシが帰ってからは,一度も階下におりてこない。母と,お喋りをしながら,ご飯。どうも,ずっと胃の具合が悪くて,痛む。あまり食欲がない。マズイな・・・


早く寝ればイイものを,また,ずるずると『ベルばら』の録画を観てしまった。はぁぁ,懐かしい・・・・
[PR]
by rompop | 2007-08-08 10:57 | ホスピタル


<< 『幸福な食卓』。 ブレイクタイム☆。。。『ベルばら』。 >>