2007・7・27 イヤな,カンジ。

今夜の父は,夕食時,最初からひどくむせた。それでも,60分で全部食べきった。

ここ3日ほど,むせも痰もひどく,食後,いつまでもゼロゼロと音を出しているのが気になる。ちょっとずつ,だんだん酷くなるような気がする。

おまけに今日は,しんどいせいか機嫌が悪く,イライラしているようだ。一番気になるのは,やけに言語が不明瞭なコト。もちろん,脳出血の後遺症で言語障害はあるが,それでも,ワタシが普通に聞き取れないコトは,最近では滅多になかった。水分不足のせいで,脳の血流に影響が出始めているのではないか,とヒヤッとする。

一生懸命,ワタシに何かを喋るのだが,何度聞いても,意味をはかりかね,「ナンダって?」と聞き返すと,「もういいよ!!」と,かんしゃくを起こす。悲しい。自分の言葉が相手に通じないって,どんな気持ちなんだろう。

歯磨きでうがいをさせ,痰をなるべく自分で出させる。それでも,ベッドに入ってからも,痰がからんで苦しそうに咳きこむ。咳をするのは消耗するらしく,薄いお腹も背中も,ヘコヘコしているが,そのうち痰を切るコトもできなくなる。

ちょっと心配なので,夜勤の看護師さんに,見てもらった。このカンジ,前回,誤嚥性肺炎を起こす直前と,とても似ている。

前回も,微熱やたまの高熱を繰り返し,だんだん,ゼロゼロや咳がひどくなっていった。いったんは抗生剤の点滴で収まったものの,病み上がりの熱のない日に,「入浴」があり,またいっきに熱が出た。「風邪をこじらせた」とワタシたち家族は思っていたが,こんな風に咳きこんでひどい夜があり,心配していたら,翌日,お茶ゼリーを喉につまらせて,チアノーゼ状態になり,緊急搬送されたのだ。

ただ,風邪をこじらせて体調がおち,喉につまらせただけではない。それは直接の原因ではあったが,内視鏡でみてもらうと,父の肺や気管から,今までに取っていたミキサー食がたくさん溜まっていたのだ。


あの前日の夜の,父のしんどそうなカンジ。不安なイヤな感じ。似ているのだ。

ちょっとベテランの看護師さんも,聴診器で父の胸の音を聴いてくれた。「バリバリ言っているわ。イヤな感じですね」そう言われなくても,バリバリいう音は,ベッド脇のワタシにも聞こえる。彼女も,前の時を思い出しているのだろう。父が呼吸をするたびに,のど元はゼロゼロ言い,胸はバリバリと言っている。

ベッドに寝かせた父の両肺を,看護師さんが上からのしかかって押えるようにして,深く呼吸をさせようとする。「○○さん,ゆっくり大きく深呼吸して!」父は言われたとおり,深呼吸するが,大きく息をするたびに,咳がでる。

「ちょっと起きてベッドに座ろうか。そのほうが楽かも」と,父をベッド脇に座らせて,同じように,胸を押えては,深呼吸をさせる。あがってきた痰を出させようとするが,父は疲れてしまっていて,腹筋も背筋もうまく使えないようだ。


父の足元にしゃがんで,父の胸をさすり続けていた看護師さんが,ワタシのほうを見て,「・・・胃ろうは,考えておられないのですか?」と小さな声でたずねる。「毎日,3食食べるだけで,お父さんはエネルギーを使い果たしてしまってます。痩せてしまって体力も戻らないし,何をするのも,しんどい状態なんです」と言う。

それはもう,言われなくても,わかっている。何度も言われてきたコトだ。主治医から公式に,ではなく,非公式に何人かの看護師さんにも,遠慮がちに言われてきた。「医療関係者じゃなく,自分の父親でもそう言えるの?」と思うから,聞き流してきたが,今夜の看護師さんの言葉は,切実な気がした。1日,父の様子を見ている人の言葉だと思い,なにも返事ができなかった。

聞けば,昼食時も具合がよくなく,時間がかかって,かなりむせこんだらしい。


ただ,ベッドに腰かけて看護師さんに支えられ,喋る元気もなくうなだれて肩で息をしているだけの父の姿を見て,気持ちが乱れた。もともと痩せてはいたが,さらに薄っぺらくなってしまった父。


自宅はあきらめた。でも,病院ではなく,やはり施設でも父は,なんとか頑張れるのでは・・・?そんな迷いも,一瞬,消えた。今の父は,障害があるだけのただの老人ではない。立派な「病人」なのだ。熱が収まったとしても,危ういバランスですぐに「病人」のほうへ針が振れてしまいかねない。そういう状態なのだ,と思った。

少し時間がたったら,吸引してくれるというので,心配しながらも病室をあとにした。どうか,これから熱が出てきませんように。。。


帰宅。父の様子を知らせると,母もいっきに凹む。


昨日の入浴だが,父はなぜか,大浴場の浴槽をとても怖がる。夏だとはいえ,院内は冷房が強いし,体も冷えているから,絶対に温まらなきゃだめだ,と強く言い聞かせても,その場になると,ものすごい勢いで拒否するらしい。

案の定,昨日も,看護助手さんたちが数人がかりで入れようとがんばったが,「絶対に入らない」と言い張り,シャワーだけで済ませてしまったそう。「あなたみたいに頑固な人は初めてです」と言われた,と父は笑っていたが。。。


弟は「そのせいで風邪ひいたんだ!」と怒っている。ワタシは,100%そうではないとは思うが,それでも,体力も抵抗力も落ちた父には,それが誘因になったのかもしれない,と思う。でも,もう済んだコトを言ってもしかたがない。患者がどうしても拒否すれば,命にかかわるコトでもなければ,無理強いするコトはできないだろうから。


明日は調子がよくなっていますように。
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by rompop | 2007-07-27 23:06 | ホスピタル


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