2007・5・22 疲れる。

7時前に病院につくと,父はもう歯磨きをしていた。歯磨きをしながら,えらく咽せている。食事がずいぶん早かったようだけど,またピッチをあげて食べたんじゃないかな?

自分のペースでゆっくり,確実に食べるように,といくら言っても,配膳の人が食器を下げるための台車をガラガラ動かしているのが気になるようで,「業者の人が食器を持っていってしまうから」といって,早く食べ終えようと,口につめこんでしまう。




残った食器は,あとで看護師さんが持っていってくれるから,と言い聞かせると,納得するのだが,次の日になると,やっぱり焦っている。大事なコトを記憶にとどめて,学習することができない。

それでも歯磨きを終えて部屋に戻ると,咳きこむのは止まった。体調は悪くなさそうだ。顔色もいいし,なにより,表情が柔和で機嫌がよい。こういう時の父の顔を見ると,理屈抜きで嬉しい。

時間は早いので,父はテレビをつけ,プロ野球を見始めた。ワタシは野球にはうといので,ほとんどわからないが,通りかかった看護助手さんが声をかけてくれる。

「○○さん,野球いつも見ているね。どこの球団が好きなの?」「えぇ・・・名古屋」「名古屋っていうと,中日やね?」「あ。そうそう」「落合監督やね」「そうそう,ハハハハ」

・・・父が,中日のファンだったなんて,初めて聞いた。あとで,「あの人,落合監督だなんて,わりあい詳しいね」だって。


隣の病室に,いつも鼻歌を歌っているオバさんがいた。ちょっと「パーキンソン病」っぽい歩き方をしていたが,ほかは健康そうで,いつも「どこが悪いのかな??」と不思議に思っていた。父よりずいぶん先に入っていたようなので,そろそろ半年ぐらい経つのではないか,と思っていたら,昨日から姿が見えなくなった。退院されたらしい。


この病院では,患者さんはある日とつぜん,ふいと姿を消す。普通の病院のように,同室で,家族同士が世間話をするような間柄でも,「いついつ,退院になりました」「それはヨカッタですねぇ,オメデトウございます」などという会話は交わされない。看護師さんも,口が重い。

それは,お年寄りや後遺症の強い人が多く,無事に自宅へ戻れる人よりも,もしかしたら,戻れずに他所へ行く人が多いせいなのかもしれない。


「唄のオバさん,やっぱり見ないねぇ」と父が言う。そして,「あの人は,いろいろ問題があったらしいからね」とも。「え?何なに??なにがあったん?」とコソコソ聞くと,「いや,金銭関係でいろいろあったらしい」と父。

父がこういうコトを言うのは珍しい。いつも,他人のコトにはあまり興味がなくて,マイペースな人だから。仰天して,「そんな情報,どこから仕入れたん??」と聞くと,「いや,うわさ話が耳に入ったから」とのコト。ホントかなぁ・・・父の妄想かな。でも,今夜の父は,イヤに頭がクリアだ。意外と本当かも。

7時40分ごろ,パジャマに着替えさせているところへ,母から電話。ビックリする。「早く帰ってきてくれ」というので,とりあえず早めに帰宅。


今の病院の主治医から「診療情報」をもらったので,さっそく2軒の施設に入所申し込みをするコトになった。明日,とりあえず1軒に行くため,入所申込書の用紙を弟が書いている。そこで,「保証人(介護者)」という欄があり,とりあえず妻の母の名を書こうとしたところ,「ワタシはとても介護はできない」と母が言い出し,弟と,ああでもない,こうでもない,と押し問答していたらしい。

昭和一ケタ生まれの人だから,多分,「保証人」という言葉にも,想像以上のプレッシャーを感じたのかもしれない。とりあえず,他人ではなく介護すべき家族の誰かの名を書けばイイだけの話だと思うのだが,どうもそう簡単に考えられないよう。

ワタシが帰るまでの間に,弟にずいぶんキツイ事を言われ(「そうやっていつも逃げる」みたいな),血圧も少し上昇しているそう。なんだかなぁ・・・弟もイラつくのはわかるが,男のくせに,結構ヒステリックなところがあるし。

母は少し涙ぐんで「そう言われても,ワタシも身体が丈夫だったら,パパの面倒見てあげたいけど」などと言い出すので,まいった。

ワタシの名を書いてもヨカッタのだが,結局,「書類上,ただの便宜上の記載だから」と言い聞かせて,母の名を書いた。というか,弟もなんか,意地になっているし・・・


その後,もう1軒の施設に金曜日に面接を入れ,父を連れて行かねばならない,という話。ワタシも仕事を休んでついていこうか,という話で,またまた揉め。弟にしたら,父の精神的フォローばかりを第一に考えるワタシにもイラツクようだ。「ややこしい交渉事は全部自分まかせで」と思っているのだろう。でも,昼間の時間が自由になるのは彼なのだから,仕方ないと思うが。

ワタシもかなり感情的になってしまい,途中から,口を閉ざしてコミュニケーションを断ってしまったので,話は終わり。

同じ血をわけた兄弟でも,やっぱりほとんど共感できない。なんというか,基本的な考え方の根っこが全然違うんだな。何を優先するか,とか,何を恥ずかしいと思うか,とか。。。しかたないのかな。

やはり,面接は弟だけに任せようと思う。ワタシがいれば,父の不安も少しはやわらぐだろうが,入所面接に,いい歳の子供が2人もゾロゾロ付き添ってきたら,ちょっと印象がどうかな?とも思う。なにしろ,いまや,こちらが施設を「選べる」立場ではなくなっているのだ。父には,まえもって,面接のコトもよく話しておこう。

それにしても,主治医の書いた診療情報は,結構ひどかった。認知症は「中度」になっているし,トイレなど「全介助」になっている。一部介助だと思うのだが。ほかにも,「活動性低下」だの,なんだの,いろいろ書いてくれている。この主治医,ほとんど診察もせず,病室に顔を見せるコトなど皆無で,ただ療法士や看護師からの情報だけをもとに書いているのだ。まぁ,要介護度は4なのだから,診療情報がやたらに軽くても,バランスが悪いとは思うけど。


というわけで,弟が2階へ退散したあとは,母をちょっと明るい気分にさせて,ワタシも部屋へ引揚げた。

疲れる・・・・・。

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by rompop | 2007-05-24 01:20 | ホスピタル


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