2007・4・24① 調査員が,やってきた!

病院へ9時半に到着。

10時に面談が入っているため,リハビリは外してくれるよう頼んでおいたが,こともあろうに,火曜日は隔週で小入浴のある日で,父は朝いちで風呂に入れられてしまっていた。

風呂に入ると血のめぐりがよくなるので,頭がはっきりする。いつもは,ぼんやりしているのに,面接の日に限って頭がはっきりしていては,介護度の認定が軽いものになってしまうではないか。。。なるべく普段の状態を伝えて(できれば,やや大げさに),軽い認定にならないよう,仕事を休んでまで同席するコトにしたのに。

弟はガックリして洗濯物をたたみながら,「看護師さんもちょっと考えてくれたらエエのになぁ」とこぼすが,あとの祭り。この時間,いつもは頭が回らずぼんやりしている父は,入浴後のすっきりした顔で車椅子に座り,「10時に来るんだったね」と,待ちかまえている様子。。。あぁ。


10時に調査員が到着。かなり年輩のベテランらしき女性。緊張。。。

ナースステーションの一角にある面談室に,車椅子の父,弟,ワタシの順番で座り,調査員の面接がスタート。

まずは,父に向かって簡単な質問から。。。

「お名前と生年月日,年齢を教えていただけますか?」

父は緊張しながらも,ハキハキと名前と生年月日を正確に発した。こないだは自分の誕生日も忘れていたのに。。。やっぱり今朝はイヤに頭がすっきりしている。。。

本当に父の具合が悪いのを望むのではない。ただ,認知症のぐあいにはムラがあるから,できることなら,悪い状態のほうを見ていただいて,ちゃんと認定して欲しいだけなのだ。いつもはダメなのに,たまたま状態が良い時だけをみて,介護度を軽くされてしまっては,あとあとのサービスに使える上限の金額に差が出てしまう。


ワタシも,多分,弟も,口には出さないが「あぁ,今日はホントに頭がクリアだ。ダメかも」と,がっかりしたに違いない。

でも・・・「お歳は??」の問いに,父はきっぱりと「59歳です」と言った。メモを取っていた調査員のペンが止まり,静かに顔を上げた。「59歳ですか・・・昭和3年生まれですね・・・もう一度お聞きしますね。お歳はおいくつですか?」

父は笑顔でもう一度はきはきと答えた。「はい,59歳です」


調査員は微笑みながら,「わかりました」と言い,質問を続ける。ちゃんと答えられるものもあったし,トンチンカンな答えのものもあった。父は,精一杯,ちゃんと答えようと頑張っているようだ。パパ,そんなに頑張らなくてもいいんだよ・・・

「朝食は何時でしょうか?」「朝食は・・・12時ですね」「では,昼食は何時なのですか?」「お昼は・・・・こちらでは食べていませんね。無しです」「・・・・・・・」

「寝るのは何時ごろでしょうか?」「寝るのは・・・9時45分ですね」

「では,今は何月でしょうか?」「8月です」「もう一度聞きますね。季節は?」「8月です」「わかりました・・・では,季節はなにですか?」「季節は・・・夏です」「あぁ,8月だから夏ですね」「はい,そうです」

ワタシは複雑な思いで父と調査員のやりとりを聞いていた。調査員はワタシの顔をちらりと見て,微笑みながら「病院にいらっしゃると季節感を感じにくいですものね」と言った。


次はワタシたち家族への質問。父の前では答えにくかった。どんなコトができて,どんなコトができないか。具体例でいろいろ聞かれた。

電話をかけることができるか?金銭管理はどうか?食事は1人でできるか?洗顔や歯磨きは?


父が本当にできるコトも,できないコトも,怪しいコトもあった。でも,ワタシも弟も,できるだけ大げさに,なるべく介助が必要なのだ,と強調するように,「できません」「難しいでしょう」「介助が必要ですね」などと答えた。父は黙って聞いていたが,きっと不本意に思ったコトだろう。


認知症についての質問は,さすがに本人の前でもはっきりとは聞きにくいらしく,テキストのあるページを開いて,ワタシと弟に見せた。問題行動や異食など,いろいろな具体例が書かれており,それによってレベルが分かれているようで,「ざっと見て,どのあたりでしょうか」と尋ねられた。ワタシには,わからなかった。黙り込んだワタシの代わりに,弟が答えた。その答えには,父を傷つけるような言葉も含まれていた。でも,ワタシも弟も,父の気持ちよりも,軽い認定にされないように,と,必死だったと思う。

父は車椅子から上半身を伸ばして,ワタシたちが見ているページを覗きこもうとしているようだったが,見えなかったようだ。

30分ほどの面接が終る頃には,父は少し赤い顔をして,黙りこくっていた。

d0062023_0132848.jpg


父を病室に帰したあと,フロアのソファのところで,調査員とワタシたちだけの話になった。父の前ではどうしても言えないような,日ごろ気づいた具体例を,ワタシはメモにしていたので,それを渡して,1つずつ説明した。

歯磨きの手順が,時々わからなくなる。水の入っていないコップでうがいをしたりする。便座から車椅子へ勝手に移ろうとすることがあるので,見守りがないと危険である。自分の名と,弟の名を,何度か間違えたコトがある。。。などなど。


ワタシたちのあと,調査員は,看護師さんに父の普段の様子を聞き取りした。はきはきと答える看護師さんの声が,病室にいるワタシたちまで聞こえてきた。「えぇ,お1人で大丈夫ですよ」だの「はい,お1人でできますね」など,「できる」のオンパレード。おいおい!!弟と二人で「ちょっとぐらい,配慮してくれよ!!」と怒りまくる。

確かに,ワタシたちよりも,ずっと長く父を見ているのは看護師さんだけど,ワタシたち家族のように,ずっとつきっきりで観察しているわけではない。歯磨き粉をつけずに歯を磨いていても,空のコップでうがいをしていても,それを見ているわけではないのに・・・


調査員が帰ったあと,ワタシたちはぐったりした。もちろん,父もぐったりしていた。父の気持ちを傷つけたと思い,「パパ,ちょっと大げさに言ったけど,ゴメンな。保険がちゃんとならないと困るからさぁ」と,コソコソと謝った。父は「うん」と言ったが,やっぱり傷ついたようだった。
[PR]
by rompop | 2007-04-24 17:05 | ホスピタル


<< 2007・4・24② 相談。 2007・4・23 憂鬱。 >>