2006・12・13 長い,1日。

冷たい雨の朝。起床して,まず母の寝室をのぞく。「なんでかわからないけど,眠れなかった」という。大丈夫だろうか。父の病院へ行くようになってから,母は毎日していた昼寝をしていない。夜も眠れなければ,疲れはたまる一方だ。

弟が今日の夕食の材料を,昨日のうちに買っておいてくれてある。「買い物に行かなくていいんだから,昼頃まで寝てたほうがいいよ」といい,ふすまを閉める。弟に,母を寝かせておくように告げる。

昨夜は,病院から「そろそろリハビリ用の靴を用意してください」と言われたので,3人でパンフレットを見ながら,ああでもない,こうでもない,と遅くまで話していたのだ。左半分があまり使えず,高齢なので身体も固い父が,自分で苦労せずに履ける靴を,と考え出すと,なかなか難しい。一口に,「靴」といっても,いろいろあるのだ。
結局,弟が今日,適当に探すコトになったのだが,母は昨夜の段階で,余計に疲れたのかも。「夜遅くまであれこれ考え事をしない方がいいな。僕もあまり眠れなかった」と,弟。実はワタシも,あまり眠れなかった。ともかく,母にこれ以上,負担をかけないように気をつけなければ。


今日も定時ダッシュで事務所を出る。先に自宅に電話をかけると,父が「卓上カレンダーが欲しい」と言っているらしい。事務所のデスクにあったやつをとりあえず持っていく。それから,母に頼まれたカゴメの「ラブレ」を数本買って。

今日も病院に着いたのは7時ごろ。やはり,これぐらいの時刻になってしまう。父は夕食を食べ終えたところだった。今日は看護師さんに食べさせてもらい,口元を拭いてもらっていた。優しそうな看護師さんだったので,気になるコトを2,3質問した。口腔ケアは,プログラムに入っているので,ちゃんと行っていると思う,とのコト。便通は,今日,座薬を使って少し出した,とのコト。

ベッドの位置が変わっていた。半身麻痺の場合,壁をどちら側にした方がいいのか,ワタシにはわからない。病院に任せよう。

父は誰かから「借りた」という新聞を見ていた。「読めるか?」というと「字は見えない」とのコト。老眼鏡がなければ読めないだろう。ただ,紙面を眺めているだけのようだ。心配になったので,さっきの看護師さんに,「新聞とか読んでも大丈夫ですか?」と聞きにいく。「ベッドにいてもらえれば大丈夫」とのコト。脳を刺激しても,出血のあとは大丈夫なんだろうか。でも,だいたい,リハビリを行うというコトは脳を刺激するコトだし。「メガネと本が欲しいなぁ」と父が言う。よほど退屈なのだろうが,それは少し早いだろう。「目が疲れると良くないから,本を読むのはまだ早いやろ」と言い含める。

疲れていたが,やはり夜はワタシがくるのを父は待っているようで,時計を見て「もう遅いから帰ったほうがいいかな」と言いながらも,面会終了時間までいて欲しそうな風なので,8時までいるようにしている。話しながら,父は何度か笑顔を見せるし,声をたてて笑うコトもある。

ベッドの傾斜を少しゆるやかにし,看護師さんに挨拶をして,病院を出た。タクシーを拾う時間がもどかしいので,今日も駅まで歩く。住宅街の中を歩けば,案外,暗がりでも通勤帰りの人がたくさんいるコトに気づいた。

9時前に帰宅。

夕食は,弟が用意しておいてくれた材料で,白ネギと牛肉の醤油炒めを作る。白菜と揚げのお汁,トマト。

母は相変わらず,血圧が高いようだ。今日の午後,病院へは弟が1人で行ったらしい。


10時前になって,母が「少し頭が重くて痛い」と言い出す。「多分風邪やろうから,薬を飲む」というが,よくよく聞くと,「いつもと少し違う痛さでもある」と言う。嫌なカンジがする。

部屋に上がって,診察カードを探し,母のかかりつけのM病院へ電話。やはり,夜勤の内科医しかいないので,レントゲンなどは明日でないと無理,とのコト。夜中になにか起こったら不安だ。自分の古い診察カードを探し,隣の駅の,大きな医大付属病院へ電話をする。救急の当直医に確認してくれ,「すぐにお越しください」と言ってくださる。

母は「明日,かかりつけへ行くから」と言っていたが,弟と相談してやはり今夜のうちに受診させることにした。弟が母の着替えを手伝い,タクシーを呼んだ。ワタシはセーターとパンツに着替え,財布と携帯,タオルをバッグに入れた。弟は朝から父の買い物や病院で出歩いていてイヤに疲れている,というので,家に置いていく。2人がかりで連れて行くコトはないから。しかし,ワタシだって,いい加減疲れているのだが。

30分後ぐらいに,病院の夜間救急へついた。待合室でしばらく待たされる。現れたのは,白衣ではなく,ブルーの手術着を来た,中年の男性医師。やはり,救急なのだなぁ,と感じる。

母の血圧を測り,心電図を取る。症状の説明はワタシがする。白目も赤く充血している母の目や顔色を見て,「とにかくすごく興奮されてますね」と医師は言う。病院に来て,余計に興奮して血圧が上がったのかもしれない。血圧の測定数値は教えてもらえなかった。かなり,高かったのかもしれない。

母は10種類近くの薬を常用している。血圧,心臓,糖尿病,安定剤,などなど。薬の一覧を見た医師は,糖尿のほうを不安に思ったのか,検尿して,なにかの検査をした。糖は降りていなかった。

診察の結果,「心労で疲れすぎて,興奮しているから」血圧が上がっているとのこと。脳には問題ない,とにかくゆっくり眠って休むコト,と言われ,とりあえず投薬で血圧を下げた。あっという間に血圧は上が120まで下がる。よく眠れるよう,睡眠薬を2回分。

ワタシは不安が完全に解消されなかったので,とても強引に粘っこく頼み,脳のCTスキャンを取っていただいた。多分ワタシは泣きそうな顔をしていたのだと思う。

CTスキャンの結果,米粒ほどの古い脳梗塞が見つかったものの,現在は何も問題なし。古い分は,特に症状が出ないまま,やり過ごすコトができたものだという。出血もなく,血管の詰まりもない。頭痛は,脳の内部からのモノではなかった。

ようやく,母もワタシも落ち着いた。血圧が下がったせいか,真っ赤な頬をしていた母も,落ち着きを取戻した。

会計は後日精算。5000円を預り金として支払い,伝票をもらう。夜間の救急外来,診察代はいくらになるのだろう。しかし,母の身体と「安心」には替えられない。

タクシーを呼び,自宅まで。タクシー代がかさむなぁ。。。

12時になっていた。睡眠薬を飲んだ母は,あっという間に,布団の中で寝息を立て始めた。今夜はよく眠るだろう。ワタシは布団に入ったものの,なんだか興奮して上手く眠れない。父が倒れた時の光景や,今夜の救急待合室の淋しい雰囲気が,何度も蘇った。
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by rompop | 2006-12-13 13:26 | ホスピタル


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