2006・12・11 胸が,ふさがった。

疲れていたので,昨夜こそは眠れるだろうと10時半に消灯したのだが,同じ部屋で寝ている母の,「ゴジラのような」ものすごいイビキで,一晩中,ほとんど眠れず。でも,母も疲れていたのだろう。しかたがない。

いつもの時間に起きたが,フラフラする。今夜はやっぱり自分の部屋で眠ろうか。母のため,と言いながら,実は1人で布団に入っていると,あれこれ考え続けて,不安に押しつぶされそうになった。だから,「気になるから一緒に寝てあげるわ」と言い,子供のように母の横に布団を敷いたのだが。

胃が重たく張っている。朝食は,卵のぐりぐりご飯と,ジャコ。緑茶。


何をしていても,父のコトがずっと頭の隅に引っ掛かっている。家族に重篤な病人がいるというのは,こういうコトなのだと思う。しかし,この状態がずっと続けば,気持ち的に保たないだろう。心配ばかりしていると,かえって良くない事態を引き寄せるような気もする。スイッチを入れるように,うまく切り替える術を覚えなくては。

あまり人には言いたくないのだが,耐えきれずに仲の良い友だち,5人にだけ,メールで知らせた。

昼食は,塩鯖定食。半分以上,残してしまう。胃がホントにおかしい。


定時で事務所を出て,公衆電話から家へ電話。母に父の容態を聞く。朝はゼリー食を食べられたそう。それはとても進歩だ。しかし,肝心の脳内の出血は,広がりもしていないが,収まりもしていない。変化なしだ。「経過を見るしかない」と主治医の話だそう。


ICUのような,機械だらけの特殊な部屋にずっと寝かされていると,意識が混乱することがあるという。聞いたことがないが,「なんとか症候群」というそうだ。

昨夜,夜中に父は,点滴等のチューブを外そうと,少し暴れたらしい。父は自分が今,どういう状況にいるのか,おそらくあまり理解できていないのかもしれない。そういえば,癌の放射線治療の時も,麻酔薬で意識が混濁した時,父は導尿のチューブを引っ張り,ベッドから降りようと,暴れたコトがあった。病人なのに,ものすごい力だった。

やむを得ず,夜の間,手をベッドにくくりつけられたらしい。今朝,母が面会に行った時,看護士からその話があり,「今後も同じことがあれば,手を固定することを了承してください」と,同意書にサインさせられたという。その話を聞いて,胸がふさがる。しかし,しかたがないのかな,とも思う。

少しだけ顔を見せようと思い,最寄りの駅で降り,タクシーで病院へ。父は,ベッドの上に上半身を起こして,座っていた。

夕食の流動食も,全部,むせることなく,食べられましたよ,と看護士が笑顔で言う。物が飲み込める,と言うことは,栄養剤などの点滴が外される日が近づくコトを意味する。こんな小さな進歩でも,感謝しなければ。

鼻の酸素チューブも外され,足からの点滴と,導尿のチューブだけが残っていた。胸や手先にはあいかわらず,何本かの器具がセットされているが,これはあまり苦痛がないだろう。こうやって,少しずつ楽になれれば良いのに。


しかし,父の言語は,あきらかに昨日より酷くなっている。ワタシの顔もあまり見ようとせず,いろいろ話をしてくれるのだが,ほとんど何を言っているのかわからなかった。不明瞭なだけでなく,意味が不明なのだ。このまま,寝たままで,痴呆の症状が進んでいくのでは,と不安にかられる。一時的なモノであってくれれば良いが。

麻痺している左手は,右手には劣るが,かなり動く。足はあまり動かないようだ。ワタシを無視してウトウトとしだしたので,「もう帰るね」というと,目を開け「もう帰るのか。」という。「もう少しいたほうがいいか?」と聞くと,少し笑って,「そうだね,時間があるなら,もう少しいてくれたほうが」と,(多分)父は言った。だから,もう少し,いるコトにした。父を疲れさせないほうが良いのか,それともそばにいた方がいいのか,わからなかったが,もう10分ほど,いるコトにした。

目の前にいるのは,ワタシの父だ。でも,いままでの父とは,違う。あきらかに,違う。その現実に打ちのめされた。泣き出したくなった。しかし,今はまだ,序の口だ。どうなっても,これはワタシの父だ,と思い直す。

友人たちからメールが来ている。逆の立場だったら,ワタシもどう言うべきか,迷うだろう。でも,ワタシにメールをくれる気持ちだけでも十分に力になる。

帰りはタクシー代をケチって,歩く。病院からJRの駅を通りぬけ,商店街を通って,阪急の駅まで。考え事をしながら,寒い夜道を歩いた。

胸がふさがったままだったが,帰宅して母を相手に色々喋ったら,いつの間にか,胸のつかえが,少しだけ取れていた。気持ちが明るくなったわけではないが,いろいろな思いを共有できたからか。家族は大切だ。こんな時にしか,気づかないものなのだろうが,家族は本当に大切だ。母と弟がいて,ヨカッタと思う。


夕食は,ブリの塩焼き,豚汁。「胃がもたれる」というと,母が大根おろしにジャコを混ぜたものを作ってくれた。少し酢と醤油を落として食べると,美味しかった。本当に,土曜日にでも,胃腸科へ行ってこよう。
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by rompop | 2006-12-11 13:05 | ホスピタル


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