許せない。

6時10分に目覚ましが鳴る。昨夜は11時には布団に入ったが,まだ眠い。朝食は食べずに,服を着替えて出かける。母はまだ眠っていた。7時15分前に病院に到着。8時の朝食に間にあった。病室へ入ると,父は立ち上がって,薬袋の整理をしていた。熱は下がったらしい。「えらい早いなぁ」と言われ,熱があって心細いだろうから,一刻も早く,と焦ってやってきたのに,拍子抜け。でも,元気そうで良かった。個室の中で,ベッド回りをソロソロと歩いている。歩いている父を初めて見た。

朝食を父は,全部食べた。尿にはまだ血が混じっていて,外のトイレに1人で歩いていくのは自信がなく,まだベッドで尿も便も取っているらしいが,それでも,ずいぶん回復したものだ。

朝刊を頼まれたついでに,9時頃,母に電話。「熱,全然ないよ。ベッドの回りを歩いてるよ」母は2時ごろ,やってくる,とのコト。元気になった父は,朝刊を読みながら,TVをつけてマラソンなどを見た。ワタシは隙を見て,1階の喫茶室でモーニングを食べる。サンドイッチ2切れ,ゆで卵,アイスティーで330円。腕時計を見ながら,15分で食べて,病室へ戻る。

昼食も父は全部食べた。水分が少ないとナースから言われているので,ワタシも何度もお茶を飲むよう注意するが,下痢を恐れている父は,なかなか水分を摂ろうとしない。

ベッドから降りられなかった数日前の夜,何度も何度も便意を訴えては不発に終り,ナースに少し嫌な顔をされだした頃,ワタシもナースに頼むのが嫌になり,つい父に辛くあたってしまった。「もう,何度も何度も!どうせまた出ないよ,気のせい。ナースコール鳴らすから,自分で頼んでよ」と。父は「自分でトイレに行けないんだから仕方ないやんか」としょんぼりし,小さな声でナースに便器を持ってきてくれるよう頼み,そしてこの時は,本当にちゃんと便が出たのだ。

あれ以来,父は便意をもよおすコトを,恐れるようになった。「水分を摂ると,お腹がゆるくなるから」と。ワタシは,あの時,父にあたった自分を許せないでいる。下剤のせいで便がゆるくなったのも,何度も何度も腹を下したのも,父のせいではないのに。娘のワタシは,父の気持ちよりも,ナースの迷惑そうな顔色を気にしたのだ。

2時前に母が到着。母は,連日の病院通いで,食事の量も減っているせいか,毎日1キロずつ体重が減っている。それでも,父は母が顔を見せないと,心細いのだ。母の持ってきた鮭のおにぎり,焼きそば,梨などを,面会室に行ってこっそりと食べる。本日の昼食。

病室に戻ると,父の熱はまた上がってきたらしい。すっかり元気だったのに,体温を測って熱があるのがわかった途端,父はベッドに横になり,具合が悪そうになった。熱が出るのは,水分が少なくて,脱水状態になっているから,とナースにきびしく言われたそう。ワタシも母も,水分を摂らないせいで,脳の血管が詰まったら大変だと,ガミガミと父に言う。母が水分補給の点滴をお願いしたら,「食事ができて,水分も自分で摂れる人に,点滴はできません」と鼻で笑われたらしい。もっともだ。「下痢を気にしてるけど,脳梗塞で呆けてしまったら,取り返しがつかないよ」と,散々おどかすと,父はやっと慌てて,お茶をたくさん飲みだした。

母の言葉に甘えて,入れ替わりに家に帰る。3時過ぎに帰宅したら,事務所の後輩Mから電話。同僚Hの父親が亡くなったらしい。今夜が通夜で,明日が告別式。岸和田での通夜には,今からでは間にあわないし,いそいで駆けつける気力は残っていない。明日は,告別式に出るつもりで用意をして出勤しよう。不謹慎だが,父の治療の山が終わったあとでヨカッタ,と本当に思う。

腹が減ったので,フランスパンにマーガリンを塗り,チェリオ(グレープ味)と共に食べる。疲れた。しばらくして,お腹がクラッシュ。ワタシのお腹も疲れている。

明日,1人でも葬儀場に行けるように,ネットで地図や時刻表を調べる。時間がかかった。ブラックフォーマルをクローゼットから引っ張り出す。パールのネックレスは引き出しから出てきた。しかし,黒のバッグは母のモノを借りなければ。

夕食は,餃子でスープ。卵焼き。きゅうりの中華風浅漬け。

9時過ぎ,母が帰宅。バッグは解決したが,家にきっとあるだろうと思いこんでいた,不祝儀の袋が,1枚もなかった。仕方なく,シャワーを浴びた後だったが,また服を着て,駅前のコンビニまで,自転車を飛ばす。不祝儀袋と筆ペンなどを買い,帰って来た。香典は迷ったが,ネットで相場を調べ,5,000円にした。なんだかんだで,寝たのは1時過ぎ。
[PR]
by rompop | 2004-08-29 20:10 | ホスピタル


<< 嫌な夢で,覚醒する。 高熱。 >>