当たりはずれ。

昨夜は,なかなか寝つけなかった。

朝,起きてスーパーへ行っておかなければ,と思いつつも,起きられず,ダラダラとしていた。9時半に部屋のドアがノックされ,起こされる。弟の話によると,母から,朝,持ってきて欲しいものがある,と電話があったらしい。父はもう,朝食と着替えを済ませ,母に頼まれたティッシュや箸,ポットなどを袋に詰め,用意万端,ワタシを待っているらしい。

「えぇ,ちょっと待って」とあわてて飛び起きる。ワタシは,昼前ぐらいに,ゆっくり病院に着けばイイかと思っていたのだ。

父を待たせて,わさび漬けでご飯を食べ,お茶を飲もうとすると,電気ポットのコードが抜けていた。しかたなく,水を1杯。

お腹が少し痛くなり,「もうちょっと待って」と,トイレへ。

タクシーに電話をするが,15分ほどかかるという。雨の日は,タクシーもなかなか来ない。なのに父は,電話を切ったあとに,「15分も待つなんて。ママが待っているのに。他のタクシー会社へ聞いたみたら」などと言う。自分は何もせずに,文句を言うとは。朝からバタバタしていたので,キレそうになる。

タクシーに乗って,病院へ。母は,寝巻きに着替え,待っていた。薬のおかげで,めまいは少し治まったが,夜中にナースに頼んでも,トイレへ付き添ってもらえず,ベッドの上でさせられたらしい。それも,すごくゾンザイに扱われたらしく,少し元気がない。昨夜,帰りにナース2人によく頼んで帰ったのだが,その後,夜勤の交代で,全然違うナースに代わったそう。ナースにも当たりハズレがあるから,こればかりはしようがない。

11時前に病院につき,しばらくパイプ椅子を2つ並べて,ベッド脇に座っていた。12時に昼食。薄味の,美味しくなさそうな食事が並べられた。それでも,母は全部食べていた。梅干を5個,パックに入れて持っていき喜ばれる。便秘予防のビフィールも持っていった。

父は,ワタシの持っていたカロリーメイトの缶と,源氏パイをむしゃむしゃ食べた。母は,TVも雑誌も見ずに,ただ,ベッドに横になっている。

2時前,ワタシは,病院の近くのラーメン屋に入り,ラーメンとチャーハンの定食(700円)を食べる。やっと,人心地つく。病院というところは,いるだけで,なんだか疲れる。年寄りばかりの4人部屋が続く廊下には,アルコール消毒液の匂いにまじって,かすかに糞尿の匂いがする。動けない患者は,ベッドの上で,大も小もするのだろうから,匂いがあって,当たり前だ。しかし,外部からやってきた人間には,ものすごく異和感がある。この匂いの中で,寝たり起きたりし,3食の病院食を食べる。鼻が馬鹿になり,なにもカンジなくなるのだろうか。ワタシはやはり,どう逆立ちしても,ナースにはなれない,とあらためて思う。

その足で,近くにある大きなスーパーに買い出しに行く。晩御飯のおかずや,バナナ,そばや梅干など。たくさん買い,唸りながら,重い袋を2つぶらさげて,傘を斜めにさして帰る。これが少しの間だけだと思うから我慢できるが,果てしなく続く日々がきたら,どうしよう。病院と買いだしと仕事だけのグルグル回る日々。

4時前,病室に戻る。母は同じ姿勢で寝ているし,父も同じ姿勢でパイプ椅子に座っている。母に,買ってきたお茶とヤクルトを1本渡し,しばらくして,帰るコトにする。父のコトをあまり考えなかったが,かなり疲れた顔をしている。父だって病人なのだ。

玄関で無線タクシーを呼んで,ベンチに腰掛けて父と2人で黙ってタクシーを待っていた。その時,寝巻き姿の母が,ソロソロと,3階の病室から玄関までやってきた。「どうしたん!」と飛び上がるくらいビックリしたが,「明日,来るときに便秘薬を持ってきて」とのコト。驚いた。タクシーが来た。母を途中まで送っていき,走って戻ってきて,タクシーに乗る。

料金の安いタクシー会社だが,運転手にもやはり当たりハズレがある。思いきり無愛想で,雨だというのに,ものすごく荒い運転をする。自分の職業にもっとホコリを持て,と言いたくなるような,プロ意識の低さ。しかし,呼び出されて,ワンメーターちょっとの距離では,愛想もふれないか。

帰宅。父も疲れただろうが,ワタシもクタクタだ。

父が「ウナギが食べたい」というので,スーパーでウナギを買ってきたのに,帰宅するなり,父が「あ!」と言う。明日は朝から検査のために,朝食抜きで採血をすることになっている。だから前の晩に,あまり脂っこいモノを食べるのはやめておく,と言う。父は,こういうところ,とても気真面目というか,神経質なのだ。

ワタシはウナギがあまり好きではないから,半分は弟が食べ,半分は明日の父の夕飯に残しておくことにしよう。代わりに,父のリクエストで「とろろソバ」を作る。トッピングに海苔をパラパラとふる。買ってきた,モズク酢と,ほうれん草の胡麻和え。わかめと揚げの味噌汁は,弟が作った(らしき)ものを。

ワタシは,白ネギと牛肉の切り落としを炒めて,醤油で味をつけたモノを作った。ゴーヤとツナのマヨネーズ和えの残りも食べる。モズク酢とほうれん草。味噌汁。

簡単で,意外とゴージャスな夕飯になった。

食後,母から電話。「診察券を忘れずに明日,持ってきて」とのこと。明日もっていくものを,弟に託す。

父は,ことあるごとに「ママ,ご飯食べたかなぁ」とか「ママ,今夜は淋しいやろうなぁ」ばかり言っている。やはり夫婦だな。それとも,年を取ると,同じ病院の雰囲気を見ても,感じ方が違うのだろうか。それでも,食後に自転車に乗って,またあの病院へ行く気力は,ワタシには残っていない。たかが駅ひとつ分の距離ではあるのだけれど。遠い。

友人Mからメール。彼女の母は,白内障の手術をすることになったらしい。少しずつ,こういう現実に慣れていくしかない。人間は,誰だって,年をとれば少しずつあちこち,痛んでいくものだから。それが自然の摂理だから。そのコトについて,必要以上に感傷的になるのは,よそう。
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by rompop | 2004-05-16 13:23 | ホスピタル


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